21新規バーセットの開発と、今求められる支台歯形成の基本 Part2:臼歯部編図1 SELF CREATOR(マニー,モリタ)の外箱。前号でも示した本製品は、直径や太さやテーパーなどを利用して意図した支台歯形成を行えるようにシステム化されている。とくに新人教育や支台歯形成の確認には欠かせない仕組みである。新規バーキット「SELF CREATOR」支台歯の咬合面を最終補綴物の咬合面と相似形にすることが重要図2 咬合面を相似形に形成することにより、咬合力を効率よく支台歯の咬合面に分散させることが可能となる。クラウンがシーソーする場合、マージン部に大きな力がかからない工夫が必要図3 臼歯部におけるクラウンがシーソーする場合はマージン相当部分に支点をもつことになるため、その支点となる部分に大きな力がかからないような工夫が必要である。る、の4点である。 これらを踏まえた上で、接着力を最大限に発揮させられるような支台歯形態に仕上げることが求められるが、この「接着力を最大限に発揮できる支台歯形態」とは、従来法における合着に対応できる支台歯形態とすることであると筆者は考えている。 現行の臼歯部における補綴・修復材料には、従来の金属冠、保険適応のCAD/CAM冠、ジルコニア冠(モノリシック、あるいは陶材前装したもの)、陶材焼付鋳造冠、オールセラミック冠(ジルコニア以外のもの)、そしてレジン前装金属冠などがある。これらの種類により担保しなければならない厚みに相違はあると思うが、感覚に頼らず、形成後に的確にその厚みが担保されていることを確認できるようなシステムを取り入れて支台歯形成をしていくことは重要な事項であろうと考えている(図1)。 一方で、臼歯部においても前歯と同様に、接着材や合着材に負担がかからないように把持・維持機構をもった支台歯形成を心がける。 そして咬合力が大きくかかる臼歯部においては、クラウン自体がシーソー運動するような力のモーメントがかかることがある。それらが大きな力とならないような支台歯形態を付与することが重要であるため、咬頭の直下に支台歯の歯質が存在することが重要である。咬頭の直下で咬合力を支台歯に伝達・分散させて、補綴物などに引っ張り応力がかからないようにするのである。そのためには、支台歯の咬合面を最終補綴物の咬合面と相似形にすることが重要であり(図2)、同時にその回転応力がかかる力の中心である補綴物のマージン部の強度をしっかり担保できるような形態に形成する(図3)。 支台歯に与える軸面形成については、機能咬頭側(上顎:舌側、下顎:頬側)においては3面形成、非機能咬頭側(上顎:頬側、下顎:舌側)においては2面形成を咬合力クラウン回転応力support!QDT Vol.45/2020 December page 1525
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