QDT2020年12月号
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46失敗しない総義歯臨床テクニック~診療室とラボとの連携~■はじめに 前回は松田歯科医師から義歯装着時の調整について解説してもらった。歯科技工士の仕事は義歯が出来上がった時点でいったん終わるが、歯科医師と患者の調整は続く。松田歯科医師の言葉を借りれば、「義歯は装着した日が折り返し地点」である。義歯はリハビリテーションの要素がおおいにある。われわれ歯科技工士もそのことを深く認識してふだんの義歯技工に取り組む必要があるのではないだろうか? その認識が総義歯臨床の成功へとつながっていく。 今回はリコール時の間接リラインのポイントと総義歯研磨のポイントについて解説する。■間接リラインの必要性 適合の良い義歯を装着していても、多くの総義歯患者には加齢にともない顎堤の吸収が認められる。それに対する処置は、義歯の新製かリラインである。多くの症例ではラボに義歯を預けることが難しいので、歯科医師は直接法を選択することが多い。しかし直接リラインは、モノマーや重合時の熱が粘膜を刺激する、リライン材の厚みのコントロールが難しく顎間関係の正確な再現に影響が出るなど、欠点も多い。歯科医院が近隣にある場合は担当歯科医師と相談し、患者の義歯を預かる環境を整え、積極的に間接リラインを選択することで義歯の精度が保たれる。■間接リラインのポイントPoint!1.硬質素材のリラインには義歯床用常温重合レジンが有効である2.間接リラインの注意点はアンダーカットのリリーフと顎間関係の変化1.硬質素材のリラインには義歯床用常温重合レジンが有効である リライン材の種類は軟質のものから硬質のものまで多数市販されているが、硬質素材で間接リラインを行う場合、筆者は本連載第10回(10月号)で紹介した義歯床用常温重合レジンを用いている。 義歯床用常温重合レジンの利点は、①古いレジン層と新しいレジン層のなじみが良く、境第12回(最終回) リコール時の悩み:「間接リラインが苦手!」連載失敗しない総義歯臨床テクニック~診療室とラボとの連携~大竹裕之*1/松田謙一*2*1 歯科技工士*2 歯科医師*1、2ハイライフ大阪梅田歯科医院大阪府大阪市北区梅田2-6-20パシフィックマークス西梅田2F講演者論文講演者論文今回のMain Point!QDT Vol.45/2020 December page 1550

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