98連載 Road to Modelless モデルレス時代に向けてデジタル機器を使いこなすために パラメーターについて述べる前に読者の方々に注意していただきたい点がある。今回、筆者のラボにおけるパラメーターの数値(図4)を紹介するが、それによって同じ適合が得られるとは限らないということである。 まず、当然のことながら、使用するCAMソフトとミリングマシンによってパラメーターの適正値は変わる。ミリングの工程に直接関係する要素なので、これは多くの方に納得していただけると思われる。さらに、使用しているスキャナーによってもパラメーターの適正値は変わる。たとえ同じ3Shape社のモデルスキャナーであっても、モデルスキャナーが変わればそれ以外の要素(模型/CADソフト/設計/パラメーター/CAMソフト/ミリングマシン/シンタリングファーネス)が同一であっても、結果は変わってくる(図5、6)。これはそのモデルスキャナーのスキャン精度が影響している。モデルスキャナーを新機種に買い替えた後に同じパラメーターでミリングした結果、フィットしなくなったという経験をされた方もいらっしゃるのではないかと思う。同じ会社のスキャナーでも違いがあるのだから、他社のスキャナーでは当然パラメーターの適正値が異なることは容易に想像できる。 ここまでは使用しているソフトや機器が異なることから、比較的理解が得やすいと思われる。だが、CAD/CAMにおいては、たとえ筆者と同じシステム(スキャナー/CADソフト/CAMソフト/ミリングマシン/シンタリングファーネス)の組み合わせであっても、必ずしもパラメーターの適正値が同じとは限らないことを理解しておく必要がある。ミリングマシンの設置環境やコンディション、ミリングバーの摩耗具合など、あまりにも影響する要因が多すぎて、講演や文献でパラメーターの数値があまり具体的に紹介されないのもここが原因ではないかと思われる。だからこそ、自社の環境におけるパラメーターの適正値を探る必要があるのである。 ただ、自社の環境におけるパラメーターの適正値を探っていく上で、他社のパラメーターの数値がまったく役に立たないというわけではない。そこで、今回は弊社で日々使用しているスキャナー(E3、3Shape,松風)とミリングマシン(MAXX DS200-5Z、Robots and Design,サンデンタル)の組み合わせでパラメーターのデフォルト値と適正値を、またE3と多くのラボで使用されていると思われるDWX-52D(ローランド ディー.ジー.,松風)との組み合わせでの適正値も紹介したい(図7~13)。パラメーターを同じにしても同じ結果になるとは限らないため注意!フィットに関するパラメーター調整画面図4 フィットに関するパラメーターは支台歯インターフェースの詳細設定で調整する。QDT Vol.45/2020 December page 1602
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