QDT2021年7月号
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25調整の少ないパーシャルデンチャーを製作するために ―チェアサイド・ラボサイド双方からのアプローチ―(前編) 岡田の報告2では、下顎左側臼歯部の咬合近接域の噛みしめ強度による変化から、咬頭嵌合位での噛みしめ時に上下大臼歯が舌側方向に回転して咬合力を受け止めていることを示されている(図1)。 また加藤の報告3によると、咬頭嵌合位で噛みしめると、上顎第一大臼歯は歯根方向に沈み込むように変位、あるいは舌側歯根方向に傾斜する変位が認められた。また下顎第一大臼歯においては舌側に変位する計測結果であった(図2)。つまり、機能時には上下の臼歯が咬合平面に垂直方向に沈み込むだけではなく、同時に舌側方向に倒れ込むことによって、咬合力を受け止めながら、その下顎位を保持しているのである(図3)。 加藤の報告では、上顎第一大臼歯の変位量は74~128μm、下顎大臼歯では40~66μmであったが、これは被験者が27歳から30歳の比較的若年層であること咬頭嵌合位での噛みしめ時の上下大臼歯の回転が咬合力を受け止める図1 下顎左側臼歯部の咬合近接域の噛みしめ強度による変化から、咬頭嵌合位での噛みしめ時に上下大臼歯が舌側方向に回転して咬合力を受け止めている(本図は参考文献2を基に作図)。咬合時の歯の変位のエラーによるものだろうか? はたまた、開口時に咀嚼筋群やロ腔底周囲の筋群の働きによって下顎骨の幅径が減少するともいわれている1ので、そのたわみのせいであろうか? もちろんそれらも咬合に影響を与えることがあるのは否定できない。しかし、もっとも大きな要因は咬合時の歯の変位による沈み込みだと考えている。 咬合時に歯に咬合力が掛かれば、変位が起こる。変位が起これば咬合高径が低くなる。しかし、一般的には歯列の印象を採得する場合、開口印象法で採得する。この方法で採得した歯列は咬合力がかかっていない状態なので、咬合器上で模型の上下歯列を合わせると、口腔内ではそっと上下歯列が接した状態となる。この咬合高径でパーシャルデンチャーを製作すると、咬合して歯の変位を起こし沈み込んだ口腔内の咬合高径と差が出るために、咬合調整が必要となってしまうのである。②軽度噛みしめ時と強度噛みしめ時の咬合関係の変化▲軽度噛みしめ時▲強度噛みしめ時▲強度噛みしめ時②軽度噛みしめ時と強度噛みしめ時の咬合関係の変化①下顎左側臼歯部の咬合近接域の噛みしめ強度による変化▲軽度噛みしめ時▲軽度噛みしめ時▲強度噛みしめ時▲中等度噛みしめ時QDT Vol.46/2021 July page 0793

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