38私たちのフルデジタル補綴・修復 ~IOSを起点とした歯科医師・歯科技工士のチームワーク~はじめにリレー連載~IOSを起点とした歯科医師・歯科技工士のチームワーク~た私ちのフルデジタル補綴・修復第8回 咬合再構成症例におけるIOSの活用 IOSの進化とともに、検査・診断、補綴治療、インプラント治療、および矯正歯科治療などにおける従来の診療スタイルや技工作業は大きく変化し(図1)、正しい知識とともにIOSを活用すれば従来よりも患者、術者、歯科技工士ともに満足の行く治療結果を得ることができると考える。 ただし、現状では広範囲の治療におけるIOSの活用には考えなければならない課題が多くあり、従来からのアナログの知識を活用し試行錯誤しながら治療を行っている。 ここで本題に入る前に、咬合再構成症例におけるIOSの可能性を実感した症例を提示する(図2)。この症例では最終印象採得を従来のシリコーン印象材およびIOSで行い、IOSのデータを使用し両側犬歯間、第二小臼歯間、第二大臼歯間にわたるバー(図2b)を試作した。シリコーン印象を基に製作した石膏模型には3本ともに適合はしなかったが、口腔内においては適合した(図2c)。この結果から、従来法による印象採得においてもシリコーン印象材の歪みや石膏の硬化膨張などを避けることはできず、IOSを適切に用いればロングスパンの症例であっても対応可能であると考えられた。これらを踏まえ、今回は咬合再構成治療を必要とする患者への補綴治療・補綴装置製作の過程でいかにIOSに活用できるかを述べたいと思う。*1谷尾和正 Kazumasa Tanio/*2大塚洸輝 Kouki Otsuka *1歯科医師・医療法人タニオ歯科クリニック 大阪府大阪市中央区南船場2丁目4-1 美貴ビル2・3F*2歯科技工士・株式会社THK(タニオ歯科クリニック) 大阪府大阪市中央区南船場2丁目4-1 美貴ビル7FQDT Vol.46/2021 August page 0932
元のページ ../index.html#3