QDT Vol.46/2021 November page 1276Kiyoshi Nakajima*1歯科医師:いがらし歯科イーストクリニック 栃木県宇都宮市平松本町1125-6*2歯科技工士:KNデンタルラボラトリー 茨城県日立市田尻町1-31-16-2F 総義歯製作において、製作過程に生じる使用材料の多さと煩雑さが歪みに繋がり、完成義歯の適合を悪化させるひとつの原因となっていた。それを解決するために、さまざまなテクニックや使用材料の改良がなされ、それが総義歯製作の進化となったといっても過言ではない1、2。 従来の製作法では、ステップごとに印象材、レジン、石膏の各材料の硬化膨張や収縮、変形などの歪みを考慮し、適切な環境(温度や湿度)を整え、適量を正確に計測し、守られた時間と操作方法で使用しなければならない。そのため歯科医師と歯科技工士を含むチーム全体の共通認識と技術力が整わないと高品質な義歯の製作は難しい3。 ここ数年、歯科業界のデジタル化の進歩は目覚ましく、インプラント上部構造をはじめ多くの補綴装置が簡単かつ高品質に製作できるようになってきた4-6。ただし、このような技術も利点と現時点での限界を知らなければ、高品質な補綴装置をつねに製作することは難しい。今回、3Dプリンターでの義歯を製作するにあたり、注意したポイントと現在の限界、将来の展望について考えてみたいと思う7-13。20Feature article #1五十嵐尚美*1 Naomi Igarashi中島清史*2 ─アナログとデジタル、3Dプリンターとミリングマシン─前編:アナログとデジタルの融合、およびゴシックアーチの意味はじめに適材適所を重視したデジタル時代の総義歯製作工程
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