b図2a、b 本図に、初診時装着していた義歯を示す。その後、前処置にて修理を行うが、毎回違う義歯や組み合わせが違う義歯を持参された。前処置を行った義歯もあったが、治療用義歯装着までそれを使用していたかは不明である。た(図2)。今回、親戚の集まりがあるため、義歯の新製を目的として来院した。 製作上の問題点として、高齢かつ長期にわたり不適合義歯を装着しており、顎位が不安定になっている点、また下顎に顎堤はある程度認められるものの(図3)、被覆粘膜が多く口腔底が歯槽骨に一部乗り上げることで義歯床縁形態の設定が困難である点や、有歯顎時に上顎前突(AngleのⅡ級)だった疑いがあった点が問題QDT Vol.46/2021 November page 1277図1a、b 咬合が低く口角にしわが寄っている。日常生活では、上顎義歯を常に入れているが、下顎は食事の内容により装着する時もある程度。97歳の夫と2人暮らしで、本人で食事を作るので食べやすいものを作って食べている。aba21 初診時94歳女性、足が悪く杖歩行である。性格は非常に温厚で生活全般自立しており、認知の衰えもなく元気である(図1)。30年以上にわたって総義歯を使用してきたが、これまでに多数の義歯を製作するがいずれも合わず、気が向いたときに製作時期の違う義歯などを自由に組み合わせて装着している。現在は数個の義歯を持っているがいずれも適合、咀嚼能率に満足しておらず長時間装着すると傷ができるとのことであっ適材適所を重視したデジタル時代の総義歯製作工程(前編)旧義歯装着時の顔貌初診時装着していた義歯症例の概要
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