薄井秀敏U-STYLE うすいキカク神奈川県横浜市西区平沼2-4-22 203雑誌等に掲載されていた著名な歯科技工士の方々の築盛途中のマメロンの表現(形や淡い表現)に感銘を受けてそれを再現したいと考えていたのだ。その後、シェード写真を基に目標歯を模倣するようになると、目標歯のマメロンも模倣しようとするのだが、その際には大変苦労したことを記憶している。マメロン表現用の陶材を使用しても、淡いマメロンや異なる色の混ざったマメロンがある中で、それらの形を保ったまま表現するのが難しかった。異なる色の陶材を混ぜて目標の色を作って築盛するものの焼成しないと色がわからない。当然、色が違っていればやり直しになってしまうし、形が違っていればそれもやり直しになってしまう。なんとか製作して口腔内にセットされたものも、全体的には合っているように見えても、マメロン部分はどうしても違和感があった(後述する図2、3参照)。この当時はどのようにマメロンを作れば良いのかわからなかったというのが本音であった。 だが、そのころの試行錯誤のおかげで、自分の中で徐々にマメロンの表現法のノウハウが構築されていき、また技術的にも細かく陶材を重ねて築盛してもマメロンの形を損なわずに築盛できるようになったのだと考えている。その結果、製作するクラウンのクオリティは以前と比較して安定するようになった。そこで本稿では、現在筆者がどのように考えてマメロンを作っているのかを前後編に分けて解説していきたいと考えている。
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