QDT 2022年2月号
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RBFDPs カンチレバー接着ブリッジ成功のためのワンポイントアドバイスはじめにマスター模型とコントロール模型の使い分け110Korrekte Verwendung von Mastermodell und KontrollmodellBearbeitung von Zirkon vor dem KeramiksichtenQDT Vol.47/2022 February page 0252図1-1 マスター模型。歯科用石膏(ISO6873)タイプ4を使用し、Zeiserシステムのベースモデルプレート(dentona社,ドイツ)を用いて分割模型を製作する。図1-2 コントロール模型。シリコーン系印象材のため製作するのは容易であるが、マスター模型と同じタイプ4の超硬石膏を注入することが重要である。12 今回はRBFDPsの技工工程の3つのポイントを挙げ、歯科技工士の視点から解説していく。その目的には、それらのポイントを歯科医師がどれだけ認識しているかを確認することも含む。これは、歯科医師が理解しなければならない技工操作のポイントとなる。また、理解した歯科医師には、歯科技工士が品質管理のためにどれほどの工程と時間を使い技工作業をしているかを知るチャンスでもある。本稿を読んだ歯科技工士は品質管理の工程を軽視しないように心がけていただきたい。その高い志を保つには、歯科医師が理解者として技術面や経済面でしっかりとサポートするべきであると考える。安い技工料で理想の質を求めるのではなく、高い技術や安定した品質管理の補綴装置にはそれに見合った料金を支払い、患者にもそれを説明する義務があるのではないか。 今回挙げるポイントは歯科技工士にとって基本的なことであり、またRBFDPsの製作で非常に重要な要となる。歯科医師は治療を取り巻くすべてのヒトやコトを知る権利があり、歯科技工士の良き理解者となるべきである。そのために本稿を一読して、RBFDPsの技工工程の概略を理解していただけたら幸いである。2-3-1 まずはマスター模型とコントロール模型の違いである(図1-1、1-2)。ここでのマスター模型はタイプ4の歯科用石膏(ISO6873)1を使用した歯型可撤式模型を示し、ベースモデルプレートを使用している2。俗にいう分割模型である。マスター模型は咬合器に装着し、CAD機にてスキャンするのに使用する。また、ジルコニアフレームと支台歯の適合確認や陶材築盛時、形態修正時などにも使用する。 一方、コントロール模型も同様に超硬石膏タイプ4を注入し製作する。マスター模型と同じ石膏でないとコントロールの意味をなさないからである。コントロール模型は、隣接面コンタクトポイントの微調整や、ポンティックをジルコニアフレームに合わせて基底面から唇側面歯頚部のカントゥアを調整する時、またポジショニングスプリントを製作する時に使用する。 この2つの模型以外に、支台歯のみを別にトリミングし、適合調整用に使用することもある。歯科技工士は作業条件によってはいくつもの模型が必要になる時がある。この場合の歯科技工士の注意事項は、必ず石膏を注入した順番で模型にナンバリングしていくこと。なぜならば、模型を作るたびに印象の精度が悪くなるからである。また、歯科医師は2~3回石膏を注入しても問題のない印象材を使用するべきである。2-3-2 Fischerら3はジルコニアの表面処理で研磨、サンドブラスト、シリカコーティングを用いて実験を行った。SEMにて観察した結果、研磨したものは研磨工程による溝が見られ、サンドブラストしたものは明ら陶材築盛前に行うジルコニアの処理法■マスター模型とコントロール模型の使い分け

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