第11回 歯科技工士が知っておくべき接着ブリッジの製作過程111Positionssprint vor der Probe entwirft und nachprüfenQDT Vol.47/2022 February page 0253図2-1 CADソフト上にてデザインされた下顎前歯部のデジタルモデリングのRBFDPs。陶材の築盛量を0.8mmに設定した後のカットバック。図2-2 CAM機でミリング後にジルコニアフレームに浸透性の色調を施し、キャラクタライズを行った。図2-3 シンタリング後、約20%収縮した下顎前歯部のRBFDPsフレーム。その後、陶材との境界にタービン等でシャープな線を形成した。かに粗い表面となった。シリカコーティングしたものには表面に小塊が観察された。そして、アルミナによるサンドブラストまたはシリカコーティング後に表面粗さが大幅に増加した。また、サンドブラストとシリカコーティングの間での表面粗さに統計的に有意な差は見られず、焼成後、表面粗さはわずかに減少したが、大幅な減少は見られなかったことを報告している。 小澤ら4もジルコニアフレームに対し、前処理の条件として未処理・サンドブラスト・熱処理、さらにオペーク(ライナー)陶材築盛の有無の条件にて、ジルコニア・陶材複合プレート試料を焼成して実験を行った結果、前処理条件と築盛条件の違いによる強度や構造の差は見られなかったと報告している。 筆者はジルコニアカンチレバー接着ブリッジの前歯部では、陶材築盛のジルコニアクラウン同様にジルコニア用陶材を唇側面にのみ築盛する。その時には、上記の報告により、ラボ工程にていちばん簡単で確実な表面処理の方法として、ジルコニアフレームへアルミナ50μmで1.5bar以下にてサンドブラスト処理を行い、超音波洗浄器にて洗浄したのちにジルコニア用陶材を築盛している。 特に注意しなければならない部分は、ポンティック基底面から唇側面の陶材の境界といえる。設計の時点でカットバックを行いCAM機でミリングするが、シンタリングファーネスに入れる前の処理としてジルコニアのカットバックした境界線をハンドピースにて滑らかにしておくか、シンタリング後にタービン等で境界線を明確に出しておくことが好ましい。なぜならば、陶材焼成後にジルコニアとの境界線を形態修正・研磨する時に移行部の均一性がとれていないと、陶材の焼成収縮で起きたわずかな窪みやスペースを生じやすいからである。 当然ながら、歯科技工士は陶材焼成後を予測し築盛を行うが、焼成後の形態修正では違う硬度の材質を同時に研磨することを考慮に入れておくべきである。また、歯肉と接するポンティック基底面はジルコニアを機械的研磨しているために、ジルコニアのカットバックした境界線を陶材の面に対し90°で0.4~0.8mmの深さにて辺縁をシャープにしておく。これにより、万が一、歯肉に対してポンティック基底面の圧迫を弱くしなければならない状況でも、ジルコニアのカットバックした境界線はつねに一線で保たれながら切削・研磨されていく(図2-1~2-3)。2-3-3 近年、RBFDPsの臨床レポートを目にする時があるが、ポジショニングスプリントの細かな解説や具体例の写真などはほんのわずかであり、ジグとしての紹介があるのみだ。 本連載第1回5、第3回6、第8回7にて、ジルコニ試適前に用意するポジショニングスプリントの設計と適合チェック法■陶材築盛前に行うジルコニアの処理法
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