bdcea第4回 インプラント長期症例が示す臨床像を振り返って(前編)45QDT Vol.47/2022 April page 0463図1a〜e 初診時口腔内写真。Case インプラントの逐次追加とメインテナンスを行った47年経過症例【初診年月】1974年12月4日【治療終了年月】2021年2月【患者の概要】初診時33歳男性、会社役員。患者はデンタルIQが低く、主訴の症状が改善されると、指導された予防プログラムを受け入れず、口腔衛生にも日和見的な態度に終始していた。【主訴】全顎の軽度の歯肉部異和感で来院した。【検査】初診時口腔内写真を図1に、デンタルエックス線写真を図2に、プローピングチャートを図3に示す。₃の先天性欠損がみられた。【初診時の診断】上記より、初診時の炎症は歯肉に限局し、歯槽骨吸収や歯の動揺、そしてアタッチメントロスもみられなかった。プローピングデプスは全顎で1〜2mmで、単純性歯肉炎と診断し治療は口腔衛生指導とスケーリングのみであった。当時は適切なキュレッタージ用の器具も開発されておらず、貧弱な歯周病の治療しか行えなかった。【治療の流れ】<1974年> 図4に、1974年当時の歯列の模式図を示す。顎位の左側偏位、上顎右側犬歯の欠如がみられた。上記のとおり単純性歯肉炎と診断し、治療は口腔衛生指導とスケーリングのみであった。1974年当時の状態❖症例の概要
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