図1a、b ₁の抜歯即時埋入インプラント治療。5年経過しても歯肉縁レベルと歯間乳頭に変化は見られず、良好な状態を保っている。インプラントポジションとインプラント補綴形態により、高い予知性が得られている。ab67Neck profileから考察するインプラント補綴形態(前編)QDT Vol.47/2022 April page 0485 インプラント治療において審美性・機能性・予知性を獲得するにはインプラントの埋入位置とインプラント上部構造特有の補綴形態が重要であり、この2つの要素は互いに深くかかわっている。補綴のスタートポイントはインプラント体であり、その位置・角度・深度により補綴形態は大きく変化する。インプラント補綴においては、歯冠の審美は当然のこと、歯肉の審美も獲得できなければ審美的とは言えない。適切なインプラントポジションとそこからなるインプラント上部構造特有の補綴形態により、歯肉縁を意図した位置・形態に誘導することができ、さらに歯肉のボリュームもある程度コントロールすることが可能である。機能性に関しても適切な咬合と、前歯部において適切なアンテリアガイドを付与するには、インプラントの埋入位置と補綴形態が重要である。 適切なインプラントポジションと補綴形態によって、予知性のあるインプラント補綴が可能になり、歯肉退縮、フィクスチャーの破折、補綴装置の破折、インプラント周囲炎などのリスクは軽減され、患者・歯科医師・歯科技工士の三者にとって予後の不要な不安はなくなる(図1)。予知性の高いインプラント補綴装置を製作するには、歯科医師・歯科技工士が共通認識をもって連携することが重要であり、前歯部領域に審美的な問題のある症例においても、事前の情報共有とゴールの設定があれば低侵襲かつ短期間でのインプラント治療によって改善が可能である。 また最終補綴装置を製作するにあたり、その前段階としてプロビジョナルレストレーション(以下PVR)では最終補綴装置よりも歯肉縁を若干アンダーに調整し、軟組織を倒れ込ませて切端側に誘導しておき、最終補綴装置にて理想的な歯肉縁の位置・形態になるようにプレスすることで、辺縁歯肉の厚みも増すことができる。 前編では、高い予知性のあるインプラント補綴を製作するための要項として、・歯肉縁をコントロールするための理想的なインプラ・インプラント固有の補綴形態(Neckprofile)・PVRによる歯肉縁の設定、唇側歯肉のボリュームのを解説する。ント埋入位置コントロール■最終補綴装置装着時■最終補綴装置装着5年経過時はじめに
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