QDT 2022年7月号
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QDT Vol.47/2022 July page 0903概形印象のアルジネート印象材、もしくはシリコーン印象材にて精密印象した印象面を読み取る、②アルジネート印象もしくはシリコーン印象から石膏模型に起こした石膏面を読み取る、③咬合床もしくはGoAの基礎床を読み取る、の3つの方法が挙げられる。現段階ではどの方法でも読み取ることは可能ではあるが、デスクトップスキャナーがなければ行えない方法も存在するので、手持ちの機材によっては方法が限られてしまうと思う。本稿では、③のGoAの基礎床を読み取っている(図4)。咬合採得について 作業工程の部分でも触れたが、当技工所が取り入れているZERO SYSTEM®は咬合採得を咬合床で行わずに、GoAを使用して行う。この方法により、仮床試適時の咬合のズレを最小限に抑えることが可能になっている。現在は、アナログでGoAを製作しているが、デジタルにてGoAを製作するシステムを構築中であり、近い将来技工作業のすべてを手作業ではなく3Dプリンターで行えるようになるであろう(図5)。Try-In Denture製作について まず、咬合採得を行ったGoA自体をデスクトップスキャナーにて光学スキャンする(図6)。そして、読み取ったGoAの基礎床面をソフトウェア上で反転させる(図7)。そうすることで、ある程度整合性の取れた上下顎の粘膜面と顎間関係が作り出される。 そのデータを基に人工歯排列をデザインソフト上で行っていく(図8)。本症例はDENTCAシステム(DENTCA,三井化学グループ)を使用しており、短時間で正確な人工歯排列および歯肉形成が可能になっている。 製作したデータを基に、3DプリンターにてTry-in den-tureを造形していく。当社はcara Print 4.0(Kulzer,クルツァージャパン)を使用している(図9)。現在、薬機法の認可を取得した3Dプリンティングデンチャーを造形できる3Dプリンターは、cara Print 4.0とrapidshape(rapidshape GmbH,COREFRONT)、およびDHソニック マイティ4K(Phrozen,デンケン・ハイデンタル)、アシガMAX UV(ASIGA,名南歯科貿易)の4機種だけ(2022年3月現在)である。図2 IOSでの上顎印象採得の例。図5 3Dプリンターで造形したゴシックアーチトレーサー。図8 ソフトウェア上で設計された義歯。図9 Kulzer社の3Dプリンターシステム。図10 3Dプリンターで造形されたTry-In 図3 IOSでの下顎印象採得の例。図6 ゴシックアーチトレーサーをスキャンしたデータ。Denture。図4 ゴシックアーチトレーサーの基礎床をスキャンしたもの。図7 スキャンした基礎床を反転させ、粘膜状態とする。3Dプリンティングデンチャーが起こす義歯革命 ─「ZERO SYSTEM®」と「cara Print 4.0」の臨床応用─51

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