QDT 2022年9月号
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50QDT Vol.47/2022 September page 1188須藤哲也Defy千葉県松戸市西馬橋3-2-2 田川ビル201 総義歯技工においてClassⅡ・ClassⅢの症例に悩む歯科技工士は経験年数にかかわらず多いのではないだろうか。歯科医師においてもClassⅡ・ClassⅢの症例に対して的確な指示を出すことができず、歯科技工士にお任せしてしまうことが多いように感じている。とくに総義歯においてのClassⅡ・ClassⅢは、独特な排列位置や咬合の与え方だけでなく、義歯の吸着や安定、粘膜の上で動く補綴装置であること、顎堤の吸収量など考慮する要素が多いことも難易度が上がる要因であろう。 筆者は自費の義歯専門ラボを開設し、日々多くの総義歯を製作しているが、意外とClassⅡ・ClassⅢの症例が多いことに驚かされている。現在歯科技工歴は30年ほどであるが、若いころはClassⅡ・ClassⅢの症例の依頼がくると何が正解なのか分からずに非常に悩んでいた。これは歯科技工専門学校で習得する総義歯を含めた製作技術のすべてがClassⅠであることや、詳しいClassⅡ・ClassⅢに関しての記述がある書籍などが非常に少ないことも影響している。筆者も試行錯誤を繰り返し、結果的になんとか総義歯を製作していたという状況であった。 筆者のClassⅡ・ClassⅢ症例における転機はIvoclar VivadentのBPSテクニカル認定を取得する実習セミナーに参加し、BPSテクニカルインストラクターである佐藤幸司先生(佐藤補綴研究室)から総義歯の多くを学ばせていただく際にClassⅡ・ClassⅢの基本的な概念を学んだことである。当時のセミナーで使用していた人工歯はオーソシット(Ivoclar Vivadent)であり、ClassⅠ用のNタイプ、ClassⅡ用のTタイプ、ClassⅢ用のKタイプがラインナップされていた。セミナーをFeature article #2はじめに総義歯におけるClassⅡ・ClassⅢの考え方とその排列手技

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