51QDT Vol.47/2022 September page 1189受講する前からT・Kタイプの存在は知っていたが、人工歯開発のコンセプトや使用方法は知らず、臨床で使用はしていなかった。BPSテクニカル認定セミナー参加によってIvoclar Vivadentの総義歯に対する研究やコンセプトの素晴らしさを知ることができた。その後、BPS国際インストラクターであったカナダのデンチュリスト(注:歯科技工士が直接患者に義歯を提供できる日本にはない資格)であるSandra Goerger氏から当時白水貿易で行われたBPSアドバンス実習コースにてオーソシットTタイプ人工歯を利用したClassⅡのディープバイトと、Kタイプを利用したClassⅢのクロスバイトの排列手技を学ぶ機会を得た。それまで悩んでいた筆者にとってSandra氏のClassⅡ・ClassⅢ実習コースは衝撃的であり、現在の筆者の技工に非常に役立っている。現在オーソシット人工歯はオーソシットSに変わり、材質の変更により耐摩耗性や色調の安定性は向上したが、ClassⅠ用のNタイプのみの発売となったことは非常に残念であり、ClassⅡ・ClassⅢの考え方や実習コースが失われたことは歯科技工士のみならず総義歯治療全体における損失になってしまうのではないかと考えている。 本稿ではIvoclar Vivadentの人工歯SR フォナレスⅡ(以下、フォナレス)を用いて、現在BPSテクニカルインストラクターとして活動している筆者が、オーソシットの形態および当時のIvoclar Vivadentの開発コンセプトから得た情報と、実際に臨床で行っているClassⅡ・ClassⅢの考え方と排列手技について、順を追ってできる限り分かりやすく解説していきたい。
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