20QDT Vol.47/2022 October page 1304*1歯科技工士:株式会社CRAFT ZERO 千葉県船橋市芝山3-12-15*2歯科医師:医療法人養明会 山中歯科医院 愛知県名古屋市熱田区六番2-1-27ということが挙げられる。 しかし、ここで大きな問題に直面する。それは、こうした保険診療では「手間をかければ良い義歯ができる可能性は高くなるが、その分技工料などのコストが増大し、治療の時間単価に換算すると低いものになる」「逆に、手間を掛けずに義歯治療を進めると、咬合が合わない、吸着が得られない、痛い、噛めないなどのエラーが出る可能性がある」「つまり、患者・歯科医院・歯科技工所すべてが満たされる環境を作ることは非常に難しい」ということである。 それではやはり、保険制度の中で好循環を生み出す義歯治療は無理なのであろうか?Feature article #1神山大地*1 Daichi Kamiyama山中佑介(執筆協力)*2 Yusuke Yamanaka 日本国における国民皆保険制度の恩恵は、仕組みとしては素晴らしいものではないかと筆者は思う。しかし一方で、歯科はその他の医療の分野と比較すると、術者の技術・知識によって結果が左右される場合も少なくないであろう。実際に、全国どこの歯科医院を受診しても同じ治療費で歯科治療を受けることは可能であるが、果たして同じレベルの治療を受けることは可能であろうか? 残念ながらそうではない。 その理由としては、上述の術者の技術・知識に加え、歯科医院は限られた保険点数の中で材料費・人件費・経費・技工料・利益を出さなければならず、自ずと患者一人ひとりにかけられるコストは限られてくる前編:保険義歯治療を変える「ZERO SYSTEM」はじめに総義歯製作システム「ZERO SYSTEM」とは何か?
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