36QDT Vol.47/2022 October page 1320Hiroyuki Kibayashi歯科医師:きばやし歯科医院京都府長岡京市開田1丁目21-21 本誌2022年1、2月号では本連載のスタートとして、スマイルの構成要素におけるその理想と許容範囲、補綴装置に具備される歯肉縁下カントゥア、支台歯形成、左右対称な中切歯歯肉縁形態を得るためのプロビジョナルレストレーション(以下、PVR)の具体的な調整方法とその確認方法、そしてPVRにて決定された フェルールとは、「失活歯の歯冠修復において、クラウンが支台歯フィニッシュラインの歯冠側に存在する健康な歯質に適合し、残存歯質を抱え込む部分」とされている。フェルールにより、クラウンが支台歯歯頚部の歯質を囲い込み把持することで、フェルール効果(帯環効果)を発揮し、残存歯質やポストコアにかかるストレスを緩和する1。 失活歯は、う蝕および歯内治療時に生じた欠損に歯肉縁下カントゥアを最終補綴装置にトランスファーする方法について詳説した。 連載再開後の第3回となる本号および4回目の次号では、上顎中切歯単冠症例を中心に、歯冠修復処置でしばしば遭遇するフェルールの欠如に対する対応を含めた、歯科審美修復について詳述する。よって残存歯質がしばしば崩壊しており、その結果として、力学的に不利になり、クラウンやコアの脱離、歯冠・歯根破折などが生じる。したがって、失活歯の歯冠修復処置を成功させるためには、歯質を可及的に保存し、歯頚部歯質によるフェルール効果を発揮させることが肝要である。これにより補綴装置脱離のリスクが軽減し、破折に対する抵抗力を向上させることが知られている2。1990年にフェルールの必要性1が提はじめに:連載再開にあたって1.フェルールについて第3回:エビデンスに裏付けられた天然歯歯科審美修復(その2)木林博之 連載Periodontal Tissue補綴装置と歯周組織の接点The interface of Restorations and
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