QDT Vol.47/2022 November page 1440 前回の連載第3回では、フェルールについて、その役割と必要な条件について詳述した。引き続き本号では、上顎中切歯単冠症例を中心に、歯冠修復処置でし①診断と治療方針 (本症例は本誌2021年4月号「Masterpiece」のCase 2より再掲)患者は60歳女性。主訴は右側中切歯の審美障害。スマイルはHigh Smileであり、前歯の歯冠全体が見えていた(図1)。そのためGingival Frameworkは必須の症例であった。瞳孔間線と正中線は直交しており、右側中切歯の切端は瞳孔間線と平行、歯ばしば遭遇するフェルールの欠如への対応を含めた、歯科審美修復について2つの症例を通して詳述する。軸は正中線と平行であった(顔貌写真掲載は拒否された)。歯周組織はThin Gingival PhenoTypeであるが、辺縁歯肉のスキャロップが強い。再補綴処置を予定している右側中切歯は左側と比較して歯冠形態、歯肉縁の位置と形態に大きな違いを認めた(図2、3)。 既存補綴装置を除去して、支台歯の評価を行った。フェルールは全周に渡り歯肉縁の高さしかなく、フェルールの確保が必須な状況であった(図4)。歯内療法後、グラスファイバー補強型レジンコアを築造し、暫間補綴装置を製作・装着した。Zenithの上下的な位置は補綴予定歯の方が歯冠側にあった。理想的な歯冠Hiroyuki Kibayashi歯科医師:きばやし歯科医院京都府長岡京市開田1丁目21-21341)症例1:外科的歯冠長延長術(SCL)(歯肉および歯槽骨切除)/主訴:右側中切歯の審美障害はじめに1.症例供覧:外科的方法と補綴的方法によるGingival Framework第4回:エビデンスに裏付けられた天然歯歯科審美修復・フェルール欠如への対応木林博之 連載Periodontal Tissue補綴装置と歯周組織の接点The interface of Restorations and
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