12QDT Vol.47/2022 November page 1463歯科技工士が知っておきたい臨床に活かせるセファログラムの知識図1 正面セファロ。図2 側方セファロは右側方面観にて撮影される。側方セファロで確認できるのは大きく分けると骨組織・歯・軟組織の3つである。57 セファロとは顎・顔面骨格系の形態・大きさ・位置を判断するために、つねに一定の距離と方向から撮影された頭部のエックス線写真である。下顎の左右への偏位が疑われる症例などでは正面(図1)や斜位のエックス線写真を撮影することもあるが、臨床において多く利用されているのは顔貌の側面観を撮影する側頭部エックス線写真(側方セファロ)である(図2)。そのため、以降、本稿におけるセファロは側方セファロを指す。 全顎的な補綴治療を行う際の診断用ワックスアップやプロビジョナルレストレーション製作で歯科技工士が必要とする情報としては、患者の希望や担当医の指示はもちろんであるが、ほかにも下顎位・咬合高径・インサイザルエッジポジション・咬合平面が挙げられる。そのなかでセファロ分析が参考資料のひとつになるのが咬合高径と咬合平面である。上顎中切歯の突出度に関しても計測することはできるが、インサイザルエッジポジションの左右的・上下的・前後的位置はチェアサイドにて検査して決定する必要がある。また軟組織を基準点としている平面は、撮影された画像によっては軟組織が確認しにくく、明確に平面を確認できない場合がある。 セファロ分析によって計測された数値を担当医に精査していただき、それを活用するか否かを判断していただく環境が望ましいが、情報を共有するためにも計測された数値がどこの値で、どのような意味があるのかを歯科技工士も理解しておきたい。 そのためには、まずはセファロにおける各計測点を知っておく必要がある。図3がセファロ分析において骨組織・歯のおもな計測点となる部位である。そして図4がセファロ分析に必要な計測点となる。図4において、骨組織上の計測点を赤、歯上の計測点を緑、軟組織上の計測点をオレンジにしている。それぞれが示しているのは図5~7となる。そして、その計測点を用いて得ることができる基準平面が図8、9となる。臨床において使用されるのはおもに側方セファロ筆者が担当医と参考にしているセファロ分析法におけるおもな基準点と平面
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