QDT 2022年12月号
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法1-3、15であり、もうひとつは歯肉唇・頰移行部を基準にする方法5、6、8、そして顎堤頂と歯肉唇・頰移行部を複合して基準とする方法4、7、9-12である。 顎堤頂を基準にする方法は、計測が簡易で製作が容易である。しかし現在においては、無歯顎になる年齢の高齢化、および無歯顎者の平均寿命の延伸、そして歯周病治療の高度化により歯槽骨が大きく喪失してから抜歯に至ることなどから、高度に顎堤吸収を起こしている症例が増加しているように見受けられる。その結果、通法にしたがって咬合床を製作すると咬合高径が低くなる傾向にある。 一方、歯肉唇・頰移行部を基準にする方法では、顎歯科医師:江俣ささはら歯科クリニック 山形県山形市江俣1-10-10QDT Vol.47/2022 December page 156028Feature article #1笹原将則  Masanori Sasahara 残存歯が基準となるクラウン・ブリッジ補綴と違い、無歯顎補綴治療では基準のない空間に咬合を再構成しなければならない。そのためには咬合採得用の咬合床が必要となる。この咬合床のろう堤を有歯顎時の歯の位置に近いところに再現すると、咬合採得時の調整量の減少と時間の短縮に直結する。 そこで、有歯顎者の口腔の平均値を求め、これを咬合床の標準値にする取り組みが従来から行われてきた。この平均値の求めかたは基準点の設定法により2つに大別できる。ひとつは顎堤頂を基準にする方1)咬合床製作における3種の基準点設定法はじめに総義歯人工歯の切縁位置(インサイザルエッジポジション)を考慮した咬合床の製作法

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