歯科医師:きばやし歯科医院京都府長岡京市開田1丁目21-21 前号では、Single Centralの症例を中心に、歯冠修復処置でしばしば遭遇するフェルールの欠如に対する対応を含めた前歯審美修復処置について詳述した。 今号では、前歯部多数歯修復において留意すべき事 前歯複数歯(上顎左右中切歯を含む)修復の場合において、顔貌に調和した左右対称な歯肉縁形態を得る調整方法について詳述する。顔貌、とくに瞳孔線と顔面の正中線を基準として、中切歯切縁の位置および歯軸の決定がもっとも重要である。歯の正中および歯軸のズレはとくに審美性に影響を及ぼすため、Provisional Restoration(以下、PVR)の調整および補綴装置の試適・装着の際は、顔貌写真や動画を用いての確認が必須となる。項について詳述する。まず、左右中切歯を含む多数歯にわたる修復を行った症例を提示することにより、今一度、診断から治療過程での留意点を再考する。①診断と治療方針 (本症例は本誌2021年4月号「Masterpiece」のCase4より再掲)20歳男性。主訴は前歯部審美障害。スマイルはHigh Smileであり、前歯の歯冠全体および2mm程度の歯肉が露出していた。そのためGingival Frameworkは必須の症例であった。瞳孔線と顔面の正中線は直交していた(図1)。しかし、左右中切歯のHiroyuki KibayashiQDT Vol.47/2022 December page 157240第5回:エビデンスに裏付けられた天然歯歯科審美修復 多数歯修復について(その1)木林博之 1)症例:非外科単冠複数歯症例:補綴的方法はじめに1.症例供覧:補綴的方法によるGingival Framework連載Periodontal Tissue補綴装置と歯周組織の接点The interface of Restorations and
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