3演者論202文QDT Vol.48/2023 January page 0080 前号ではひとつの症例を通して、前歯複数歯(上顎左右中切歯を含む)に対する修復における、左右対称な歯肉縁形態を得る調整方法と留意すべき事項について詳述した。今号では、左右中切歯を含む多数歯にわたる①診断と治療方針 患者は20歳男性。主訴は前歯部審美障害(図1~4)。スマイルはHigh Smileであり、前歯の歯冠全体および2mm以上の歯肉が露出していた。そのためGingival Frameworkの付与は必須の症例であった。瞳孔線と正中線は直交していたが、瞳孔線と前歯切縁平面は平行ではなく、約4°程度左上がりの修復を行った症例を提示することで、瞳孔線と顔貌の正中線が直交する場合としない場合の切縁平面の設定について、その対応方法について詳述する。Mandibular Lateral Displacement(MLD)の状態であった(上下咬合平面も左上がりであった)。それに応じて、左右中切歯の歯軸も顔貌の正中線に対して傾きを認め、左右犬歯の歯肉縁の位置、歯冠長が大きく異なっていた。前歯切縁の位置は下唇上縁と平行ではなく、歯周組織はThin Gingival Phenotypeであった。デンタルエックス線写真より左側中切歯は歯根吸収を認めた。問診より、10年前に自転車で転倒した際、左側中・側切歯を完全脱臼し、その後整復固定処置を受けたとのことであった。左側中切歯はアンキローシ80歯科医師:きばやし歯科医院京都府長岡京市開田1丁目21-21Hiroyuki Kibayashi1)症例1:外科複数歯症例:外科的方法および補綴的方法はじめに1.症例供覧:瞳孔線と顔貌の正中線が直交する場合としない場合の対応第6回:エビデンスに裏付けられた天然歯歯科審美修復 多数歯修復について(その2)木林博之 連載Periodontal Tissue補綴装置と歯周組織の接点The interface of Restorations and
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