3演者論202文56QDT Vol.48/2023 March page 0376歯科医師:きばやし歯科医院京都府長岡京市開田1丁目21-21Hiroyuki Kibayashi 前号では、外科的歯冠長延長術(SCL)について、概念とその目的、術式選択、治癒と補綴歯科治療介入時期、およびSCL後の補綴歯科治療で遭遇する症状と①診断と治療方針 患者は20歳女性。主訴は上顎前歯部審美障害(図1~4)。某美容外科医院で「セラミック矯正」と称した修復処置による審美歯科治療を勧められ治療を開始するも、仮歯の頻回な脱離に加え、度重なる抜髄の強要により不安を感じ大学病院を受診、大学病院からの紹介で当院を受診に至った。スマイルはHigh Smileであり、前歯の歯冠全体および2mm程度の歯その対応策について詳述した。今号では、SCLを利用した多数歯の補綴歯科治療を行った症例を通して、その留意点について詳述する。肉が露出していた。そのためGingival Frameworkは必須の症例であった。瞳孔間線と正中線は直交していたが、左右中切歯の歯軸の傾きを認め、左右中・側切歯の切縁が下唇に強く接触していたことより、歯冠が長く切縁の位置は不適切と診断した。また、歯周組織はThin Gingival Phenotypeであった。補綴装置の形態不良、不適合、歯間乳頭の不連続性などがみられ、辺縁歯肉には炎症状態を認めた。既存補綴装置除去後、各支台歯を評価した(図5)。上顎左右犬歯間の支台歯のうち、左側中切歯が失活歯であったが、変色はなかった。シャベル状の歯冠形態であり支台歯の高連載(歯肉および歯槽骨切除)はじめに1.症例供覧:外科的方法と補綴的方法によるGingival Framework1)症例1:外科的歯冠長延長術(SCL)第8回:エビデンスに裏付けられた天然歯歯科審美修復 外科的歯冠長延長術(その2)木林博之 Periodontal Tissue補綴装置と歯周組織の接点The interface of Restorations and
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