104QDT Vol.48/2023 March page 0424第30回(最終回) 筆者の考えるデジタルとの向き合い方藤松 剛株式会社 STF/京都府長岡京市開田2-1-5 とみふじビル3F株式会社 STF Tokyo/東京都台東区東上野6-23-5 第二雨宮ビル1F 101 今回で本連載も最終回を迎える。そこでデジタルワークフローの各工程について振り返りながら、筆者の考えるデジタルとの向き合い方を伝えたい。そもそもデジタルには教科書がないため、機器を取り扱うメーカーから使用法を教わったり、海外の情報を得たりしたものを臨床に応用するというパターンがスタンダードになっている。そのため、いまだおおよその全体像が見え始めた段階に過ぎない。さらに、さまざまなメーカーから新しい機器が続々と発売されており、現状使用している機器を検証しながら精度を追いかけることが日常臨床のベースになっている。 IOSの普及により、データを受け取ってモデルレスで仕上げる症例も増加し、工程的にはシンプルになっているように見えるが、間接法で製作する場合とは異なる注意点も数多く存在している。モデルレスでは補綴装置の形態や適合精度を確認するための作業用模型がないため、CAD画面上でクラウンの形態やコンタクト・咬合・フィッティングパラメーターなどの補綴装置に必要な要素が決定される。そして作業用模型がないため、加工された補綴装置の誤差はすべてチェアサイドでの調整につながるというリスクがある。対策としては、デジタル機器の誤差を極限まで減らし、設計どおりの加工をするしかない。このとき、家電製品と同じくすべての機器は納品されてから日増しに精度が落ちていくことを考慮し、最初の数年を超えた辺りからは精度の担保も視野にいれていかなくてはならない。とくにミリングマシンにおいてはマニュアルどおりに使用しても機器のポテンシャルを最大限に発揮できないと感じており、臨床家の工夫が必要だと考えている。その工夫をするためには各機器について知り尽くす必要がある。そのためにも各施設が適切な機器の導入を考えていただきたい。 本連載ではRoad to Modellessというテーマを据えたことから、各工程の注意点を中心にお伝えしてきたが、最終回となる今回はIOSにおけるDigital Workflowに沿って筆者の考えを紹介したい。はじめに連載Road to Modellessモデルレス時代に向けてデジタル機器を使いこなすために
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