3演者論3演者論文文92Dental Laboratory Arch鳥取県米子市車尾6-8-25QDT Vol.48/2023 May page 0696QDT Original Articleはじめに 歯科におけるインプラント治療の進化は素晴らしく、マテリアルや外科手技などさまざまな要素の研究が進み、現在では欠損補綴のひとつのオプションとしての立ち位置を確立している。同時にわれわれ歯科技工士も、歯科医師が採得したシリコーン印象に対して可能な限り精度の高い上部構造を製作することを目指してきた。だが、インプラント治療においてさまざまな研究が進んだ現在においても、筆者は印象採得方法だけは劇的な変化がなかったと感じている。もちろん、各インプラントメーカーも印象用コーピングを改良してはいるものの、術者の習熟度に左右されにくい「完璧」な印象採得の手法はいまだ確立されていないのではないかと考えている。どんなに美しい歯冠形態でも、天然歯のような美しい色調であったとしても、最初の印象採得が正確でなければインプラント上部構造ポジショニングインデックス法ができるまで ポジショニングインデックス法は、筆者がおもにフルマウスのインプラント治療における印象採得時に歯科医師に提案している印象採得法である。まず、印象として意味がない。以前はメタルセラミックスが主流であったため、製作途中や仮に完成後でも口腔内試適を行ってずれがあればロウ着で対応することも可能であった。しかし現在はフレームにジルコニアを使用して上部構造を製作することが多くなったことで、最初の段階から正確な模型で製作することがより重要になっている。 筆者の臨床においてはインプラント技工の割合が多く、以前からより精度の高い印象採得を歯科医師に採得していただくためにはどのような方法が考えられるのかについて、担当歯科医師に相談しながら試行錯誤してきた。そのなかで現在フルマウスのインプラント治療において行っているポジショニングインデックス法が一定の成果を得ているので、今回はこの手法について紹介させていただきたい。用コーピングを口腔内にセットする。次に、ポジショニングトレーを口腔内に挿入し、パターンレジンを用いてポジショニングトレーと印象用コーピング(テン足立哲也インプラントの位置情報と歯肉情報を同時かつ正確に採得するためのチャレンジポジショニングインデックス法という一提案202202
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