3演者論202文78QDT Vol.48/2023 June page 0808福岡県福岡市博多区千代4-29-65 第3ファイブビル203 現在の前歯部審美領域の補綴治療においては、オールセラミックスが主流になって久しい。そして、その補綴装置のマテリアルとしては、おもにジルコニアとプレスセラミックス(二ケイ酸リチウムガラスセラミックス)が挙げられる。 ジルコニアが臨床に使用され始めた当初は、不透明なジルコニアと透明感の強いプレスセラミックスで、フレーム形態や築盛方法などに明確な違いがあったと感じるが、近年では透光性が増したジルコニアが登場したことにより、以前よりもジルコニアとプレスセラミックスの差は少なくなったと考えている。 実際、一般的に「補綴装置を製作するうえで条件の良い環境」においては、どちらを選択しても良好な結果が得やすいと思われる(図1)。だが、臨床においては良好な条件ばかりではなく、さまざまな制約のある環境で補綴装置を製作しなければならない場合のほうが多いのが現実である。そんな「制約のある環境」でも、術者の技術・知識・発想を駆使することで、使用するマテリアルに関係なく良好な結果を得ることは可能である。しかし、各マテリアルの特徴を踏まえて適材適所で選択したほうが、より容易に良好な結果を得やすくなることは理解しておくべきである。 今回は、ジルコニアとプレスセラミックスが、それぞれどのような環境に向いているのかを実際の症例とともに紹介したい。 なお、現在では前歯部審美領域においても、ジルコニアやプレスセラミックスをフレームマテリアルとしてだけではなく、モノリシックで適用する機会が増えFeature article #2制約のある環境下での前歯部補綴に対するマテリアル選択と対処藤崎啓太Charm Dental Design はじめに
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