QDT 2023年7月号
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QDT Vol.48/2023 July page 0929第5回 欠損歯列の診断と欠損補綴の設計の重要性を再認識した症例61この症例を選んだ理由適な治療を提供できるよう、現在も日々研鑽している。また常に患者の目線に立ち、患者に寄り添った治療を提供し、患者のQOLに貢献できるよう心がけている。 本誌のような歯科雑誌や書籍を通じての臨床報告 「インプラント治療をやるならパーシャルデンチャーをよく勉強しなさい」 筆者がインプラント治療を始めた当初、師である本多先生に言われた言葉である。当時はこの言葉の真意がわからなかった。「なぜインプラントをするのにパーシャルデンチャーを勉強しなければならないのだろう? インプラントを臨床で行ううえで、切開・剥離・縫合、ドリリングなどインプラント外科の基礎や、インプラント補綴、硬・軟組織マネージメントなどの勉強こそが必要なのではないか」と思っていた。 しかし時を経て、自身でインプラント治療のみならずパーシャルデンチャーの症例を手がけていくなかで、そして勉強会などを通じて師匠を含めた諸先輩方とディスカッションを行うなかで、少しずつその意味合いがわかってきた。 パーシャルデンチャーを勉強する際には必ず、「欠損歯列の病態診断」というものがついて回る。そしてこの欠損歯列の診断を学ぶことにより、目の前の患者のや、学会・研修会・スタディグループでの勉強会などを通じて、自身が師匠や先輩方から教わってきた知識・技術や経験を後進の歯科医師の先生方にも伝えられたら、と考えている。欠損歯列を診たときに、インプラント、ブリッジ、パーシャルデンチャー、もしくはこれらのコンビネーションのうち「どの方法で欠損補綴を行うのがより良い選択肢なのか」、「それぞれの方法で欠損補綴を行った際のベネフィットとリスクがどこにあるのか」が鮮明に見えてくるのである。 これは特に、複雑な欠損形態に出会ったとき、なおかつ何かしらの事情で「インプラント補綴が行えないとき」や「行えるインプラント治療の本数に制限があるとき」にこそ、重要な概念であると考える。 本症例は、片側遊離端欠損であり、対応を誤ると一気に咬合崩壊へと進んでしまう可能性をはらんだケースである。本症例を供覧し、「どのような点を考慮し、補綴設計を行ったのか」という「診断・補綴設計時の思考の過程」をお見せすることで、「欠損補綴の診断」を学び、興味をもつきっかけとなってくれたら、と思い本症例を選択した。

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