d図1a~d PVR装着時のMOPによる欠損顎堤形態の支持がある状態と、PVR除去後5分経過によってポンティックによる欠損顎堤形態の支持を失った状態による印象体から製作された作業用模型の比較。a、c:PVRのポンティック装着状態(赤点線)の場合の欠損顎堤粘膜の作業用模型。切縁観(a)、側面観(c)。b、d:PVRのポンティック未装着状態(白点線)の場合の作業用模型。切縁観(b)、側面観(d)。PVRのポンティックによる顎堤粘膜支持がある場合(赤点線)と支持を失った状態(白点線)の欠損顎堤粘膜形態の違いが確認できる。QDT Vol.48/2023 August page 1045abc51印象材などによるアナログ印象では、印象材の準備や、口腔内で印象材の注入およびトレー挿入に時間を要し、加えて印象材の硬化時間も必要なため、その欠損顎堤粘膜の変化量は大きいものになる。これまでに、この問題を解決するさまざまな方法が報告されている。Intra Oral Scanner(IOS)によるデジタル印象採得では、PVR除去後ただちに欠損顎堤粘膜形態を印象採得することが可能である9が、欠損顎堤粘膜の変形はPVRのポンティック基底面による支持から解放された瞬間から少なからず起こっているため、PVRのポンティック基底面形態に対応する欠損顎堤粘膜の形態を正確には再現することはできない6-8(図1)。以後、過去に報告されてきたPVRのポンティック基底面形態のトランスファー法とその問題点、そして現時点での理想的と考えるそのトランス第13回:エビデンスに基づいた欠損修復処置(その4:ポンティック〔後編〕)ファーの方法について考察する。 PVRのリテイナーであるクラウンの内面とポンティック基底面をシリコーンパテと低粘性シリコーンで印象採得し、ポンティック基底面製作のためのシリコーン製模型を得る方法3がある。この方法は、ポンティック基底面の再現のためだけに利用され、他の歯列は再現されない。また、製作された作業用模型の支台歯に、圧排模型で事前に製作されたブリッジ(以下、FPD)のフレームワークが正確に適合しないことが考えられる(後述)。 またこの方法以外にも、他の歯列を含む咬合関係をPVRの除去にともなう歯肉形態の変化2)PVRのポンティック基底面形態を印象する方法3、10
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