QDT 2023年9月号
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3演者論202文Hiroyuki Kibayashi歯科医師:きばやし歯科医院京都府長岡京市開田1丁目21-21QDT Vol.48/2023 September page 117050 欠損補綴修復処置のひとつのオプションであるブリッジ、その構成要素のひとつであるポンティックについては、前号までの3回にわたり詳説した。本号では、ブリッジのもうひとつの構成要素であるリテイナー、その中でも天然歯を利用したリテイナーについて、その種類を中心に2回にわたり詳述する。 少数歯欠損に対する補綴技法には、部分床義歯、ブリッジ(全部被覆型ブリッジおよび部分被覆型である接着ブリッジ)、インプラント支持型クラウンと、多くの修復方法がある。このうち、部分床義歯は他の技法と比較して審美性に劣り、患者の満足度は低い1‒3。インプラントは、隣接歯の歯質削除をまったく必要としないMIな修復方法であるが、種々の全身疾患罹患などの医学的理由、骨量不足や骨質不良などの解剖学的理由、手術に対する強い不安などの心理学的理由、あるいは高額な治療費による経済的理由、骨格の成長の完了していない若年者には禁忌など、インプラントを適用できない症例も少なくない。また、1歯中間欠損において、明らかにインプラント治療が有効であるというエビデンスは存在しない。しかしながら、条件に応じて、インプラントあるいはブリッジのそれぞれが有効な症例が存在していることは、明らかにされている。欠損部の隣在歯が既修復歯の場合、あるいは歯内治療を行う必要性がある場合は、5年生存率に差がないことや外科処置が必要ないこと、および処置の簡便性からブリッジを治療の選択肢として推奨できるが、ともに健全である場合は、健全歯の切削を避ける意味でインプラント治療を選択することが望ましいと推奨されている4。そのような背景のもと、とくに審美性を要求される前歯部において、欠損歯の隣接歯が既修復歯である場合では、ブリッジが選択される(「生存」とは前装部の破折の修理あるいは脱離したブリッジの再接着といった治療的介入があったにせよ、経過の調査を行った時点でブリッジが口腔内に存在していることと定義し、「成功」と連載第14回:エビデンスに基づいた欠損修復処置(天然歯をリテイナーとするブリッジ〔前編〕)木林博之 はじめにPeriodontal Tissue補綴装置と歯周組織の接点The interface of Restorations and

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