QDT 2023年9月号
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QDT Vol.48/2023 September page 117151は通常行われる歯周組織のメインテナンスを超えるような治療的介入、またはブリッジのやり直しなど補綴的介入 ブリッジのリテイナーは、その形態と数により大きく分けられる。 前歯部審美修復処置において、天然歯を利用したブリッジのリテイナーは、全部被覆型か部分被覆型に分類される。 全部被覆型リテイナーは高い審美性をもたせることは可能であるが、支台歯形成による歯への侵襲が大きく、それにより歯髄壊死や二次う蝕などの生物学的合併症を招くリスクが高いとされる7。 一方、接着ブリッジの構成要素である部分被覆型リテイナーは、支台歯形成量がきわめて少ない低侵襲の補綴技法であり、全部被覆型リテイナーと比較して生物学的合併症を招くリスクが格段に低いだけでなく、治療に要する時間が短く、治療コストも低い8など多くの利点を有している。 中間歯欠損補綴装置の中でコンベンショナルな方法第14回:エビデンスに基づいた欠損修復処置(天然歯をリテイナーとするブリッジ〔前編〕)が必要とされる合併症がブリッジならびに支台歯にいっさい発生していないことと定義している)。 リテイナーの本数は、リテイナーとなる歯の歯周組織が健全な場合、1本か2本に限定される。その本数の根拠となるのは、ブリッジ治療における支台歯の増員について、3点支持は材料力学的に不利であること10、中間支台歯の増加により両端の支台歯に対する引張り応力が発生すること、2点支持に比較して力学的に複雑な力を受けること、中間支台歯相当部の歯槽骨に応力が集中しやすいこと11、が指摘されている。また、支台歯を増員してもかならずしも応力の減少12および保持力の向上にはつながらず、中間支台歯では逆に減少している13。以上から、支台歯の増員は、歯の動揺を抑制するためには有効13であるが、耐久性に問題が生じるので避けることが推奨される9。  したがって、ブリッジのリテイナーは、その歯の修復の有無およびその状態、歯周組織の状態、歯根の長さと表面積、咬合状態、審美性、ブリッジに使用するマテリアルの強度、などを総合的に考慮して、その形態と本数を決定することとなる。として一般的に認知されており、ゴールドスタンダードとされているのが全部被覆型2リテイナーブリッジ(FDPs)である。メタルセラミック製のFDPsを対象とした1966年から1996年までの永続性について調べて1)リテイナーの形態5、61)全部被覆型2リテイナーブリッジ(次項の症例1)2)リテイナーの本数91.ブリッジのリテイナー(支台歯)の種類2.全部被覆型リテイナー

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