QDT Vol.48/2023 September page 119979技術力は個人のスキルや経験値で差が出やすく、スキルによる作業時間の差を埋めることが難しい工夫によって作業時間を短縮する余地があるアナログデンタル図1 われわれの身近にある資源はお金であり、時間も限りある資源である。時間とお金を同列に意識して、お金を管理するように時間も同じように考える。図2 若いスタッフが携わるデジタル作業のほうが作業時間を短縮する余地がある。DXを意識した労働生産性の向上と人材育成の両立(後編) 「忙しくて時間がない」「時間がなくてできない」などはよく耳にする言葉である。当然、筆者自身も同じような思いを感じてきたし、実際に言葉にもしてきた。雑誌には、「1日30分のムダは、1ヵ月で15時間、1年で180時間以上にもなる。時間を味方につけることだ」(「PRESIDENT 2022年7月号 金持ち思考入門1」より抜粋)と書かれていたが、これは逆に考えれば、その30分を有効に使うことによって、1年間で8時間労働の22日分の時間を余計に得ることができるということである。1日のわずかな時間を毎日建設的に使う考え方は、生産性を向上させるにはとても大切である。 筆者は、お金に対して毎月、使用額や貯金などを計画立てて運用するように、時間に対してもお金と同列に考えるようにしている(図1)。人は生まれてから平等な時間が与えられ、時間はお金で買うことも増やすこともできない。むしろ、浪費したお金は後から取り返すことができるが、時間は取り返すことができない 時間を意識すると、改善すべきポイントが明確になり対策も見えてくる。現在の歯科技工はアナログとデジタルが混在しており、作業内容によって特徴を整理する必要がある(図2)。技工作業においてデジタルで行う範囲が広くなってきているなか、新卒など若い歯科技工士はCAD/CAMなどデジタル関係に携わる機会が多いと思われる。そのため、その分野のフォローを行い、教育をすることによって、大きな作業時間の短縮を達成しやすくなる。逆にアナログでの技術力や経験値がある人がCAD/CAM作業をメインで行うと、大きな作業時間の短縮を達成することは難しいと考えている。また、若いスタッフの成長の機会が減るというデメリットもある。先輩スタッフが経験値を生かしてことを考えると、時間の方が大切と考えられる。1日24時間を計画的に効率良く使うことで生産性を向上させることができると考えている。教育し、権限を委譲することで、若いスタッフのスキルを成長させるシステムを構築する必要があると考えた。お金と時間を同じように考えるデジタルのほうが作業時間の短縮をしやすい時間は平等かつ限りある資源デジタルのほうが作業時間短縮の余地がある
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