Feature article #120QDT Vol.48/2023 October page 1278 保険診療の中でも、総義歯治療は不採算部門だといわれることが多いが、その理由はどういうところにあるのだろうか。もちろん、各診療ステップにおける保険点数自体も決して十分とはいえないが、ただでさえ難しい総義歯臨床において、各ステップを丁寧に実施すると時間的なコストが大きいことも原因のひとつだと考えられる。卒前教育において総義歯治療を十分に学ぶことが難しくなりつつある現在1、2、若手歯科医師はとくに苦労しているのではないかと推察される。そして、歯科技工士側にも同様の問題があり、残念ながら保険総義歯技工を担う歯科技工士が減りつつあるといわれている。そのため、このままでは以前にくらべて保険総義歯治療はその患者満足度や機能回復レベルが低下する可能性が懸念される。しかしながら、多くの無歯顎患者にとって保険総義歯治療は口から美味しく食事を行い、健康を保つために、この上なく重要な治療であり、これからもその重要性は変わらない。そのため、総義歯の治療レベルを維持・向上させ、いかに成功させるかが重要な課題であり、本記事で紹介する「BPS-2ND」にはその課題を解決するためのヒントが多く含まれている。ぜひご一読いただければ幸いである。*3歯科医師・医療法人社団ハイライフ 大阪梅田歯科医院/大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座 臨床准教授*2歯科医師・長谷歯科医院/福岡歯科大学 咬合修復学講座 有床義歯学分野大阪府大阪市北区梅田2丁目6-20 パシフィックマークス西梅田2F*1歯科技工士・合同会社DentLab福岡県大牟田市大字吉野619-16兵庫県たつの市新宮町新宮397-1*1古賀智也 Tomoya Koga/*2長谷英明 Hideaki Hase/*3松田謙一 Kenichi Matsuda1.はじめに:既存の保険総義歯の問題点(松田)チェアサイド&ラボサイドで考える「BPS-2ND」のメリット
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