QDT 2023年10月号
2/9

・概形印象・簡易咬合採得チェアサイド&ラボサイドで考える「BPS-2ND」のメリット21QDT Vol.48/2023 October page 1279・最終印象・GoA、採得・研究用模型製作・器装着・個人トレーの製作・ナソメータM装着・ろう義歯試適(前歯部試適)・作業用模型製作・ろう義歯完成・重合 ・研磨合器再装着・前歯人工歯排列・装着 歯科技工士である読者諸氏は、保険診療・自費診療を問わず、総義歯の製作依頼に対してどのようなイメージをもたれるだろうか? もちろん、年齢、経験値、得意分野などでその感じ方は大きく変化するだろう。しかし、多くの方が総義歯という掴みどころのない補綴装置にプレッシャーを感じているのではないだろうか? そして、そのプレッシャーこそが総義歯技工の問題点を露わにしているといえよう。総義歯技工は知識(経験)に基づいた技術力がモノをいう分野であり、そのためには膨大な時間を費やす必要があるとされ、一人前に総義歯を製作するまでには10年かかるというような意見も聞かれる。すなわち、「知識に基づいた経験」と「同経験を継続的に得るための環境」の2点が歯科技工士にとって総義歯技工を習得するための大きなハードルとなると考えられる。 たとえば、咬合床の製作を例にとると、たしかにろう堤の高さには目安となる平均値があるものの、実際の臨床では模型の大きさや顎位によっても異なるうえ、年齢、性別、全身の健康状態、患者の歯科受診歴などによってアレンジを行って咬合床を製作できる若手歯科技工士はなかなかおらず、どうしても、ただ平均値のみで製作するか、勘に頼ったアレンジを行っているにすぎないのではないだろうか。 また、臨床において大きく関係しているのが歯科医師の技量であるが、そのような勘で製作された咬合床と、もともと総義歯臨床に自信のない歯科医師の組み合わせでは、その後の成功をだれが予想できるだろうか? また、保険総義歯に対する歯科技工所の経済的な問題も考えられ、経済的効果の見えない若手の義歯技工教育に労力を割くくらいなら、即戦力となりやすいCAD/CAM技工の教育に力を注ぐのはある意味仕方がないともいえる。図1 BPS-2NDにおける一般的な治療&技工ステップを示す。2.歯科技工士の視点からみた保険総義歯の問題点(古賀)■BPS-2NDにおける一般的な治療&技工ステップ

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る