QDT 2023年10月号
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ナー型RBFDPs(RBFDPs made with a cantilever single retainer design〔以下、RBFDPs-SR〕)が臨床に導入され、2リテーナー型のRBFDPsを上回る臨床成績が報告されるようになった。ブリッジの材料としては、1リテーナー型にせよ2リテーナー型にせよ、ニッケルクロム合金などの非貴金属をフレームに用いた陶材焼き付けブリッジがもっとも多く用いられてきた。従来のRBFDPsにおける主な審美的な問題は、金属フレームワークを舌側表面に接着した際に、支台歯が自然な透明感を失い、灰色っぽくなることであった9。また、ブリッジ連結部にわずかに金属が露出して見えることがあるといった審美性の欠点も存在していた10。接着技術とセラミック材料のさらなる進歩により、オールセラミックRBFDPsによる新しい審美的治療の選択肢が可能になった11。オールセラミックRBFDPsはメタルフレームを用いた接着ブリッジと異なり、最初から2リテーナー型よりもカンチレバー型のRBFDPs-SRが多く用いられてきた。第15回:エビデンスに基づいた欠損修復処置(天然歯をリテイナーとするブリッジ〔後編〕)セラミック材料もガラス浸透型アルミナ・ジルコニアに始まり、二ケイ酸リチウムガラスに移り、まもなくCAD/CAM技術の進歩により高い破折強度と破壊靭性を備えた高密度焼結型ジルコニア12が登場し、これを用いたRBFDPs-SRが主流となった。 この補綴様式の欠点は、片方のリテーナーが脱離してもブリッジ自体は脱落しないため、患者自身が脱離に気づかないまま支台歯に二次う蝕が進行することがあること14、あるいは稀に低位咬合(infraocclusion)を引き起こすことが報告されていることである15。2リテーナー型RBFDPsでのブリッジに破損率が高い主な理由は、機能運動時、とくに前方・側方運動時の支台歯の可動範囲、動く方向の違い、および2本の生理的範囲内で可動する支台歯を強固に固定することにあると思われる(図1)。QDT Vol.48/2023 October page 12972リテーナー型RBFDPsの予後不良例図1a、b 抜歯から18ヵ月後に2リテイナー型RBFDPs(メリーランドブリッジ)を装着。正面観(a)および口蓋側面観(b)を示す。図1c、d 装着から13年後。それまで、メインテナンスに応じず左側中切歯が脱離していた。左側中切歯は挺出し二次う蝕に罹患していた。本図はリテイナー部を切断除去し、う蝕除去後の正面観および口蓋側面観。この後、左側中切歯のみ補綴処置を行い、左側側切歯の欠損は、切断面を研磨するにとどめ、結果として1リテイナー型RBFDPs(RBFDPs-SR)として保存することとした。abcd392)2リテーナー型RBFDPs2、3、13

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