70Feature article #2QDT Vol.48/2023 October page 1328廣末将士セイブ歯研福岡県春日市春日2-18 筆者は歯科技工士として働き始めてからクラウンブリッジをメインに仕事をこなしてきた。現在でもメインの仕事はクラウンブリッジである。そんな筆者がデンチャーの製作をはじめたのは、今から10数年前のことになる。フルマウスをはじめとする欠損の大きな補綴装置を製作する上で、デンチャーの考え方が重要だと感じ始めていた時に受講したIvoclar VivadentのBPSテクニカル認定セミナー(講師:佐藤幸司先生〔佐藤補綴研究室〕)がきっかけである。その後、排列セミナーや、佐藤幸司先生が主宰されているPGAコースを受講し、デンチャーへの知識を深めつつ、臨床においてもデンチャーを製作してきた。最近ではクラウンブリッジを製作する際もデジタルでの仕事の割合が多く、デジタルデザインではライブラリから読み出したクラウン形態を欠損部位に当て込んでいく作業となるため、とく①使用機材 切削加工法で製作する場合、デンチャー加工に対応した加工機が必要になる。筆者の使用している加工機はPM7(図1)である。PM7は大型の加工機で、デンチャーの素材であるPMMAの他に、ジルコニアやIPS e.max(二ケイ酸リチウム)、また、コバルトクロム合金やチタンといった金属加工も可能である。現在ではに欠損部位が大きくなるにつれて排列ポジションや咬合・ガイドなど、デンチャーの要素が強くなると感じており、デンチャーを学んできたことが活きていると感じている。 クラウンブリッジのイメージが強かったデジタルも、ここ数年でやっとデンチャーにも応用されてきた。筆者もプログラミルPM7(以下、PM7、Ivoclar Vivadent)の導入をきっかけにデジタルデンチャーの製作に積極的に取り組んでいる。 そこで今回は、筆者が現在取り組んでいるデジタルデンチャーの製作方法の中でも、切削加工(ミリング)法にて製作するIvotion Denture System(Ivoclar Vivadent)のミルドデンチャーについて、従来法と比較しながらまとめたいと思う。PM7よりも小型でデンチャー加工も可能なプログラミルPM DRY(図2、以下、PM DRY)という加工機も販売されている。PM DRYはその名の通り乾式加工のみに対応した加工機で、セラミックや金属の加工はできない機種である。今回筆者の紹介するIvotion Denture Systemでデンチャーを製作するにはこのどちらかの加工機が必要となる。はじめに1.ミルドデンチャーの使用機材と材料ミルドデンチャーの現在地
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