67QDT Vol.48/2023 November page 1459歯科技工士・カツベ歯科クリニック大阪府大阪市北区曽根崎2-12-4 コフレ梅田3F長嶋一直 単に歯科治療を行うという観点であれば、カメラによる各資料の撮影は必須ではないかもしれない。しかし、より良い歯科治療を患者に提供しようと考えるならば、検査診断・治療計画立案・治療過程・治療終了時・メインテナンスなどの治療過程において撮影される各種写真は、非常に重要かつ必須な資料となる。 しかし、このような重要な資料であるにもかかわらず、各教育機関においてカメラの基礎知識を学ぶ機会があるわけではなく、臨床に出てから各自が独学で学んでいくことになる。そのため、個人によってその知識と技術にバラつきが生じ、ときには、せっかく撮影をしているにもかかわらず、資料としてもっとも大切な「正確な情報」を読み取れない場合すら存在する。 カメラの扱いに慣れていない初心者がチェアサイドで撮影を行う場合、もっとも大きなハードルとなるのは、限られた時間のなかで適正な写真を撮影しなければならないというプレッシャーではないかと思われる。また、本誌を含め、歯科におけるカメラ関係の記事は豊富に存在するが、カメラは学べば学ぶほどに奥深く、しっかりと理解しようと思うと、どうしても理論から学んでいく必要がある。この辺りも初心者にとってハードルが高くなっている一因ではないかと思われる。 そこで本企画では、「なぜそうなるのか?」という理論よりも、初心者が「失敗しない」ことを目的に「こういうときはこうする」という目線を意識して歯科における写真撮影について解説していきたい。前編では、チェアサイドにおける口腔内写真について解説する。前編:口腔内写真の撮影はじめに短期連載失敗しない写真撮影初心者のための「まずはここから」
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