Feature article #2QDT Vol.48/2023 December page 155258 われわれがともに臨床を行うようになって約6年の月日が過ぎた。出会ってすぐに意気投合し、同年代ということ、歯科臨床にかける想い、その熱量も似ており、その後、さまざまな症例を通してお互い自由に意見交換をしながら臨床を熱く行ってきた。 もちろん最初は小さなことでも意見の食い違いが生じ、その度に連絡を取り合い、お互いの考えのすり合わせをしてきた。その結果、現在ではお互いの意向や求めることの優先順位、さらには微妙な癖なども随分と理解できるようになっており、非常にスムーズに臨床を進めることができるようになってきたと感じる。 木村先生と初めて仕事をしたのは2017年6月で、シングルセントラルの2ケースであったことはよく覚えている。まだお互いをよく分かっていない状態だったため、再製作をしながら、筆者の技術レベルを確認してもらったり、こちらからも形成に細かな要望を伝えたりと、いろいろとスムーズには進まなかった。その後、症例を重ねていくことで現在ではスムーズに仕事を進めることができるようになったが、それは、これまでに遠慮のない意見交換を数多く行ってきた結果であると思う。その過程のなかで、歯科医師と歯科技工士の考え方の違いから意見が食い違うこともあったが、木村先生の明確な意図をもった細かな指示で、普段の仕事よりも良好な結果が得られた経験も多い。そ 結論を先に述べるとすれば、われわれが現在このような状態で臨床に臨むことができるようになったのは、お互いに利益を優先するのではなく、一つひとつの症例に全力で向き合ってきたからに他ならない。 今回は、誌面をお借りして、筆者らが今までに経験した3つの症例を振り返り、それらの過程のなかでお互いにどのようなことを考え、連携を図ってきたのかを恥ずかしながら見ていただきたいと思う。 歯科医師・歯科技工士の連携に悩みをかかえている方が、少しでも参考になれば幸いである。んな積み重ねが、歯科医師と歯科技工士の考えにズレがあった場合に、お互いの考えをすり合わせることを可能にしていると思う。 筆者は自分のことを、上手い歯科技工士だとは思っていない。補綴装置の形態・色調・マテリアル、日々進化するデジタルにいつも悩みながら臨床に取り組んでいる。そんな筆者でもなんとか仕事を行えているのは、歯科医師から期待されていると感じているからである。 今回は、上手くいくことばかりではなく、反省することも多い、「発表のためのケース」ではない、いつもの筆者らの臨床を見ていただけたらと思う。はじめに(Dentist)はじめに(Dental technician)
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