QDT 2024年4月号
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*1/常藤洋平Yohei TsunetoQDT Vol.49/2024 April page 045888*1 歯科医師:大阪大学大学院歯学研究科 クラウンブリッジ補綴学・顎口腔機能学講座*2 歯科技工士:大阪大学歯学部附属病院 総合技工室大阪府吹田市山田丘1-8*2連載 QDT Beginners Manual for Dentist プロビジョナルクラウンの製作岡亮太Ryota Takaoka 根尖病巣や二次う蝕などが原因でクラウンを再製する機会は多い。すでに装着されているクラウンは歯冠形態や咬合関係がおおむね良好であることが多く、印象材を用いて形態をコピーすることにより、短時間で調整量の少ないプロビジョナルレストレーション(PVR)を製作することができる。気泡を混入しやすいことや、扱うレジン材料が多いため操作が煩雑であることなどが欠点ではあるが、技工料の削減や治療回数の減少の観点からは本手法の有用性は高い。①下顎左側臼歯部の舌側遠心隅角の形成時には、振動系の切削器具が有用である。②PMMA系レジンを使用しクラウンをコピーしてPVRを製作する場合、特に生活歯においては重合時に発生する熱に十分に注意を払う必要がある。③1度目の圧接で適合不良が確認された場合は、迷わずリライン(再圧接)を行う。④臼歯部の咬合調整の際、調整後に隆線が皿状に陥没しないよう、相似形で縮小させるよう心がける。 あらかじめ模型で製作したPVRを使用する場合、試適時に大きく浮き上がったり、位置決めが困難になったりする場合があるが、コピーする方法ではそのような問題は起こらない。経験の浅い先生方や本手法をふだん使用しない方におかれては慣れるまである程度の鍛錬が必要ではあるが、応用すれば複数本のケースやブリッジでも同様の方法でPVRを製作することが可能であるため、ぜひとも習得していただきたい方法の一つである。第3回 チェアサイドにおけるプロビジョナルクラウンの製作~口腔内のクラウンをコピーする方法~連載QDT Beginners Manual for Dentist今回のポイントはじめにプロビジョナルクラウンの製作

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