昨今、歯科医療においてもデジタル化の波はすさまじく、ラボサイドでのCAD/CAMはもちろん、チェアサイドにおいても口腔内スキャナー(Intra oral scanner。以下、IOS)を用いた光学印象が広がりを見せている。 IOSは既存のアナログ印象(シリコーン、寒天、アルジネート)と比較して、患者負担の軽減、テクニカルエラーの減少、感染予防、タイム&コストパフォーマンスの良さなど多くの利点を有している。また、その精度についても3ユニット程度の修復装置までであれば、アナログ印象と同程度、またはそれ以上とも報告されている1-10。 しかしながら、それらの文献の中には光学印象のエラーを引き起こす因子として、唾液、歯肉溝浸出液、血液などの水分による表面汚染が挙げられている(表1)。 その対応策として、エアブローやコットンロールなどによる簡易防湿、エアブローとバキュームによる吸引などが推奨されているが、とくに下顎においては唾液腺の開口部が近いことや、舌・頬粘膜等軟組織の排除が困難な場面が多いことから、光学印象のエラーが生じやすい(図1、2)。歯科医師・柏木歯科 秋田県秋田市広面土手下41-120QDT Vol.49/2024 June page 0618Feature article #1柏木 了 Ryo KashiwagiはじめにDigital scanning under rubber dam:ラバーダム下の光学印象採得─デジタル時代の新しい手技とその考察─
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