Feature article #234QDT Vol.49/2024 June page 0632奥田浩規*1/伊藤彰規*2*1歯科医師・奥田歯科医院:兵庫県神戸市中央区橘通4-2-6*2歯科技工士・奥田歯科医院 前編では、エマージェンスプロファイルおよびエマージェンスアングルに関する文献的考察を行ったうえで、筆者らの現在の見解を述べさせていただいた。そのなかで、生物学的に安定したインプラント周囲組織を維持して審美的な治療結果を得るためには、適切なエマージェンスプロファイルとエマージェンスアングルの設計が不可欠であり、それらはインプラントのポジションと硬軟組織の厚みに大きく影響されることを理解していただけたのではないかと思う。 このインプラントのポジションは、①埋入深度②近遠心的位置③唇舌的位置④インプラント軸の傾斜の4つに分けて考えられる1。硬軟組織においては、 Esquivelらは、「エマージェンスプロファイルはインプラントのポジションと軟組織の厚さに大きく依存する」と述べ、インプラントの三次元的なポジションに影響を与える要素を以下の4つの項目に分類し、それぞれに応じたエマージェンスプロファイルデザインを述べている1。少なくとも硬組織2mm、軟組織2mmの厚さが必要であり2、3、そのためには術前の診断が重要4である。硬軟組織が不足している場合は、インプラント埋入前にGBRなどのインプラントサイトディベロップメントにて十分な組織を獲得する。唇側骨が残存していれば、抜歯後即時インプラント埋入と同時にソケットグラフトや結合組織移植を併用してインプラント周囲組織の保存を行う。また、インプラント埋入後に唇側の組織が不足した場合、追加の結合組織移植を行う、などの対応がある。 後編では、インプラントポジションと硬軟組織、エマージェンスプロファイルの関係性について述べた文献を紹介したうえで、臨床的なエラーが起こった症例を提示し、その問題点を分析して筆者らが実際に行った解決策を解説したい。D:Implant Depth(埋入深度)I:Interproximal Position(近遠心的位置)B:Bodily Position(唇舌的位置)A:Axial Inclination(インプラント軸の傾斜) まずは、これらの項目について解説していきたい。Feature article #2前歯部審美インプラント治療におけるエマージェンスプロファイルとエマージェンスアングル後編:臨床的なエラーが起きてしまった場合の対応はじめにThe Impact of 3D Position on Emergence Profile Design1
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