37California Gnathology図1 ナソロジーからシークエンシャルオクルージョンへの簡単な流れ。図3 中心位の定義における下顎頭の位置は年代によって変化している。60年代は後方に押し込んだ位置、70年代は後上方、80年代は上方、90年代は前上方で関節円板を挟んで関節結節と向き合う位置だったが、数年前には、この「関節円板」の文言が削除された。Austria Gnathology図2 学校で教わる有名な学説は、ナソロジーが世に出るもっと前から提唱され、研究されてきた。若手に届けたい!! シークエンシャルオクルージョンの補綴設計コンセプト1920Balanced Occlusion1950Organic OcclusionSequential OcclusionRudolf SLAVICEK19801859Bonwill ボンウィル三角1890Spee スピーの湾曲1901Gysi ゴシックアーチ描記装置Christensen クリステンセン現象1907Bennett ベネット運動Angle アングルの分類1920Monson モンソンの球面説QDT Vol.49/2024 September page 0977Centric relation(CR)方には理解しやすい話かもしれない。しかし、ナソロジーを知らない世代の歯科技工士の方でも、学校で教わった「ウィルソンカーブ」「クリステンセン現象」「モンソン球面説」などはご存知だと思う。これらを咬合理論に取り入れているのがシークエンシャルオクルージョンの凄いところで、学んでいくなかで納得しやすい点でもある(図2)。 筆者がシークエンシャルオクルージョンを学び続けていこうと考えたきっかけは、当時、ある咬合の勉強会の代表の先生の以下の言葉を聞いたことだ。「歯科には診断がない。外科だろうが内科だろうが医科には診断があり、その診断の結果、薬が処方されたり手術したりと治療が進んでいく。だが歯科は痛いところを応急的に治療するだけで、痛みが起こった根本的な原因を探すための診断をしていない。すべて対症療法である」ナソロジーとシークエンシャルオクルージョン時代で変化する中心位の定義における下顎頭の位置 この勉強会では、シークエンシャルオクルージョンの概念を基本に検査診断を行い、その患者に合った適正な下顎位を見つけ、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士が三位一体で患者を治療していくことが重要であると教えていた。 ナソロジーが衰退していったのは、時代とともに変わる不確かな顎位である「中心位」をすべての患者にとって絶対的に適正な位置だと考え、そのために失敗を繰り返していったことが原因であったと考えられている(図3)。 骨格も下顎位も咬合高径も咬合平面も、だれひとり同じではない。シークエンシャルオクルージョンにおける「その患者に合った適正な下顎位に対する検査と診断が必要である」という前提は、ナソロジーにはなかった概念である。
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