63軟化Aluwax臼歯部咬合法による咬合採得クラスプ付き咬合床短冊状(1×3cm)に切り分けたAluwaxをラバーボール内で湯煎(45~50℃)して芯が残っていない状態にし、クラスプ付き咬合床の欠損部位に1、2枚重ね、口腔内に装着する。手指保持咬合床を口腔内に装着後、患者が口腔周囲筋を完全にリラックスさせた状態で咬合採得を行うために、上下顎を手指で保持しながら口頭指示を行う。① 「お口を開いて」② 「お口を半分閉じて」③ 「あごを楽にして」(このとき口腔周囲筋の緊張が取れ、④ 「そのままゆっくり上と下の歯を合わせて」⑤(臼歯部が軽く触れ合ったところで) 「はい。そのままの状態で、とめて」口腔内でAluwaxの硬化を確認後、咬合床を口腔内から取り出し、Aluwaxが外れないように咬合床に焼き付け、その後、流水下でワックスを完全硬化させる。硬化後、咬合床を口腔内に戻し、咬合関係の再現性の確認を上記の口頭指示によって行う。取得された咬合床咬合採得の際、患者がAluwaxを噛み切ることなく、対合歯もしくは対合の咬合床の圧痕がAluwaxに軽く残り、残存歯が咬合しない程度を目安に採得している(咬合挙上分はテクニカルサイドにて咬合器上で補正)。歯根膜図1 軟化Aluwax臼歯部咬合法による咬合採得の手順を示す。QDT Vol.49/2024 September page 1003(※前回の続き)下顎がリラックスした安静位となる)第3回 BioFOReによる義歯製作の手順と注意点3)診療2日目 ①:咬合採得 通法にならってスタディモデル上でクラスプ付きの咬合床を製作後、口腔内で適合確認を行う。部分床義歯の咬合高径を決定する際、前回述べたように、操作・作業時間にゆとりのあるAluwax(Aluwax Dental Products、日本国内取扱先:モリタなど)を用いた軟化パラフィンワックス臼歯部咬合法である「軟化Aluwax臼歯部咬合法」により咬合採得を行っている(図1)。 天然歯の歯根には咬合接触情報を30μmまで感知できるといわれる感覚受容器である歯根膜(図2)があり1、そのため、咬合採得時に起こる残存歯の早期接触は、下顎の滑走や誘導に影響を与える可能性があると考えられる。その点、軟化Aluwax臼歯部咬合法は、咬合接触点の少ないアイヒナーB2以上のケースにおいて、残存歯の感覚受容器誘導型ではなく口腔周囲筋・顎関節誘導型の顎位決定ができ、残存歯による習慣性咬合の影響を受けにくい咬合採得法だと認識している。 そして、ワックスバイト材を使用した咬合採得は、後から口腔内で繰り返し咬合確認ができることもシリコーンバイト材にはない優位点であろう。筆者は以前、部分床義歯でもシリコーンバイト材を使用していたが、歯根膜と粘膜の被圧変位量の差異、あるいは歯の動揺によって、咬合器・模型上での再現性が不確実になるため、現在は総義歯治療に限定的に使用している。図2 感覚受容器である天然歯の歯根膜(参考文献1より引用・改変)。
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