QDT 2024年10月号
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QDT Vol.49/2024 October page 1110*1歯科技工士:タニオ歯科クリニック/大阪府大阪市中央区南船場2-4-1 美貴ビル2F48*2歯科医師:タニオ歯科クリニック 2017年に医療機器製造販売承認を取得した口腔内スキャナー(Intra Oral Scanner:IOS)は、その後、順調にシェアを伸ばし、現在では多くの歯科医院で使用されるようになってきている。 このIOSにおいては、使用され始めた当初から現在に至るまで精度にかかわるさまざまなテーマがトピックスとして取り上げられてきており、正しいスキャン方法が徐々に整理されてきた。加えて、IOS自体も進化してきたことで、スキャンする範囲が狭い1歯単位の補綴治療であれば、IOSを用いても印象材を用いた従来の印象採得と同等の精度を得ることが可能であるということが周知されるようになってきている1、2。 しかし、その一方で、フルマウスのような広範囲の歯列のスキャンを行う場合は、歪みが生じる可能性があるためにデータを補正する必要がある。また、複数のインプラントが埋入されて連結が必要な症例においてパッシブフィットを得るためには、IOSでのスキャンに加えて、従来法と同様にベリフィケーションインデックスを採得したうえでデータをマッチングさせてインプラント位置を補正する必要がある。 これまで、これらを補正するさまざまな手法が提案されてきているが、筆者らの医院においては、現在、広い範囲のスキャンが必要な天然歯ケースで歪みを補正する手法、そして、複数のインプラントが埋入されているインプラントブリッジ症例におけるベリフィケーションインデックスを用いてインプラント位置を補正する手法について、独自のアイディアで臨床を行い、良好な結果を得ているため、今回はそれらについて紹介させていただきたい。はじめにスキャン範囲が広い天然歯ケースと複数インプラントケースのリポジショニング島村亮平*1/谷尾和正*2(監修)Feature article #2IOSのスキャン精度を補正するための一提案

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