ザ・クインテッセンス7月
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特集1:座談会エンド治療における意思決定を確実なものにするために 近年,本邦の歯内療法は劇的な進化を遂げつつある.その背景にはNi-Ti製ファイルなどの器具・器材に代表されるさまざまな新規開発・認可,さらにはマイクロスコープや歯科用コーンビームCTの普及があげられる.しかしながら,これらはすべて歯内療法のうちのソフトの領域に位置するもので,いわゆるハードの部分(診査・診断,意思決定,治療計画の立案等)においてはどうなのであろうか? 一説には日本における歯内療法の成功率は50%以下という声も聞かれる.若手臨床家がエンド治療は難しいといわれる理由はここにあるのかもしれない. 一方,米国や北欧で専門医教育を受けた臨床家が,歯内療法専門医として活躍できる場も広がりつつある.診療の現場はもちろんのこと,講演やコース,また各種誌面などでも指導的な立場として露出される機会も増えているところであるが,彼らの考え方の共通するところは科学的背景や客観的事実を踏まえた確固たる意思決定と,確定診断まではあきらめないという姿勢にありそうである.すなわち,器具・器材や材料などではなく,ケースをみる視点,診査・診断力に違いがあるのではないだろうか? そこで,ペンシルバニア大学での専門医教育を修了されて,自身のコースなどでも指導的な立場にある牛窪敏博先生(大阪府開業)を囲んで,ディスカッション形式で2名の若手臨床家(山本信一先生:兵庫県開業,神戸 良先生:京都府勤務)がレクチャーを受ける形式の座談会企画をお届けする(編集部).典型ケースから意思決定のスキルを養う司会・コメンテーター:牛窪敏博プレゼンター:山本信一/神戸 良キーワード:歯内療法,意思決定,診査・診断,治療計画立案40the Quintessence. Vol.32 No.7/2013—1412
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