ザ・クインテッセンス7月
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特集2 本誌2012年10月号で述べた通り,Evidence Based Dentist-ry(EBD:根拠に基づいた歯科医療)とは「質の高い科学的根拠」に加えて,「臨床家の技術と判断」,「患者の希望と選択」の3つの要素が相まってなされる医療を指す1.つまり,EBDを実践するとは最新の科学的根拠に基づき,患者ごとに最適な医療を高度な臨床的技能によって提供することである.決して,科学的根拠に固執した患者不在の頭でっかちな歯科医療を指すものではない.これにより,われわれは予知性が高く,誰が施術しても同等の結果が得られる再現性の高い手法を選択することができる. 一方,卓越した技術をもった極少数の歯科医師のみが実践できるケースプレゼンテーションを頼りに,科学的裏打ちが薄く再現性の低い治療方法を選択することは,患者を危険に陥れる.われわれはブラックジャックに憧れてはいけない.再現性のより高い,過去の臨床研究を振り返ることで,先人と同じ轍を踏まず,新たなケース,臨床上起こりうる問題に挑むことができる.その積み重ねが歯科医療を日々前進させていくのだ. 本特集では前回に引き続き,これらのことを背景に臨床を行っている2人の若手歯科医師の取り組みを紹介する.加藤大明(チョコレート歯科医院)はじめにEvidence Based Dentistryの実践2予知性と再現性の高い歯科医療の取り組みからキーワード: エビデンス,リスクアセスメント,カリエスフリー,年齢の変化,う蝕好発部位,う蝕進行速度,ポスト,コア,歯内療法市野孝昌/幡野紘樹日吉歯科診療所連絡先:〒998‐0037 山形県酒田市日吉2‐1‐16参考文献1.http://ebd.ada.org/about.aspx85the Quintessence. Vol.32 No.7/2013—1457

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