ザ・クインテッセンス 2015年12月
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力によって起こるトラブルと現象力によって起こるトラブルと現象力のリスク診断によって変わる治療計画【第2弾】【第2弾】46the Quintessence. Vol.34 No.12/2015—2552大阪府開業 大森歯科医院連絡先:〒541‐0053 大阪府大阪市中央区本町3‐1‐2 大原ビル2F‐A大森有樹Yuki Omoriキーワード:力のリスク診断,治療計画,トラブル,現象Trouble and Phenomenon inside the Mouth from Occlusal Force われわれ人間の口腔に起こるトラブルの原因はう蝕・歯周病・力(咬合)・医原性の4つが挙げられる(図1a).そのなかで,う蝕・歯周病に関してはエビデンスも多く存在し,われわれ臨床家もそのエビデンスに基づき,それぞれのリスク分析をし適切に治療することで,一定の良好な治療結果と安定した術後経過を得ることができるようになった. しかし力に関しては,規格化・数値化・可視化することが困難であるがゆえに,法則性を見出すことができにくく,リスク分析が困難であった.また,「この病態に対してはこう治療する」という対処法に関してもマニュアル化することは困難であった. もし読者の方々の目の前にいる患者が,力によってトラブルが発生している,または力のリスクが高いのであれば,咬合再構成をはじめとする力のコントロールが必要となってくる.力によるトラブルがなく,力のリスクが低ければ,現在の習慣性咬頭嵌合位でマッシュバイトを採り,治療すればよい.つまり,力のリスク診断によって治療計画が変わってくるのである(図1b). これは,う蝕治療に置き換えてみれば容易に理解できる.たとえば,う蝕ができ,歯に実質欠損があるとする.それに対し軟化象牙質を除去し,窩洞形成を行い,コンポジットレジン充填という治療を施すとする.しかし,これはまさに対症療法であり根本的な原因解決を行っていないのである.仮に,こはじめにFEATURE特 集 1
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