ザ・クインテッセンス 2016年1月
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歯科が発信するコモンリスクファクター対策福岡歯科大学口腔保健学講座口腔健康科学分野連絡先:〒814‐0193福岡県福岡市早良区田村2‐15‐1埴岡 隆FEATURE特 集 4健康日本21のNCD対策と歯科口腔保健 わが国で2013年からスタートした健康日本21(第2次)では,生活習慣病(NCD:非感染性疾患を含む)の発症予防と重症化予防の徹底は,国民の健康の増進の推進に関して,健康寿命の延伸に次ぐ2番目に優先性の高い基本的な方向である.一方,世界ではWHOがNCD対策を進めており,NCDの発症・重症化予防についての国際連合加盟国による声明が,2011年9月19日,20日にニューヨークで開催された国連第66回総会の政府高官会議で193の加盟国により採択された. FDI(国際歯科連盟)は,口腔疾患が非感染性慢性疾患群に分類されていることから,政策協議の議事に積極的に関与した.草案では口腔疾患の記載はなかったが,活動の結果,政治宣言の第19条に「口腔(oral)」の文字が書き加えられた(図1).この政治宣言は,やがて国連加盟国での各政府での宣言の履行に繋がると期待される.そして,この履行の根拠となるのは,世界と各国でのエビデンスである.NCDとは 近年,慢性疾患の発症や悪化は,個人の意識と行動だけでなく,個人を取り巻く社会環境による影響が大きいため,これらの疾患について,単に保健分野だけでなく,地域,職場等における環境要因や経済的要因等の幅広い視点から,包括的に施策を展開し,健康リスクを社会として低減していく「NCD対策」としての概念が国際的な潮流となってきている.がん,循環器疾患,糖尿病およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を中心としたNCDは,世界的にも死因の約70%を占めている.(健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料より)はじめに──コモンリスクファクターアプローチの最近の動向と歯科からの情報発信104the Quintessence. Vol.35 No.1/2016—0104

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