ザ・クインテッセンス 2016年1月
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シリーズ:治療経過・治療計画から学ぶ臨床の真実1帰ってきた症例PLAYBACK術後経過から学ぶ-その再評価と考察および現在の考え方エムドゲイン療法を用いた13年経過症例“True Periodontal Regeneration”の確立東京都開業 スウェーデンデンタルセンター連絡先:〒100‐0011 東京都千代田区内幸町2‐2‐3 日比谷国際ビル3F*宮城県勤務 スウェーデンデンタル仙台連絡先:〒983‐0852 宮城県仙台市宮城野区榴岡1‐6‐2 ヤマダイビル1,2F弘岡秀明/山田康友*A Case Report : 13Years Follow-Up of Emdogain® Treated Angular Bony DefectHideaki Hirooka, Yasutomo Yamadaキーワード:エムドゲイン®療法,True Periodontal Regen-eration,歯周組織再生療法FEATURE特 集 6対象症例は2008年7月号に掲載された「THE VERIFICATION」(検証の時代はじまる)欄の症例5.2008年7月号からPLAYBACK©Printed in Japan通巻第319号 2008年7月10日発行 毎月1回10日発行 昭和57年2月27日第三種郵便物認可年間購読料 定価 30,240円(本体28,800円)1部定価 2,520円(本体2,400円)2008 vol. 27 no.772008 Vol. 277■ GBRにおける吸収性膜の有効性と可能性を探る/佐々木 猛・松井徳雄 ■ CT入門コース/麻生昌秀■ 座談会:若き歯科医師が希望をもてる歯科界へ PART2/土屋賢司・船登彰芳・水上哲也・牧草一人■ 日常臨床で遭遇する知覚麻痺/柴原孝彦 ■ 新・症例PLAY BACK/吉永 修歯科臨床家のための総合学術誌昭和57年2月27日第三種郵便物認可 ISSN 0286‐407X 2008年7月10日発行 毎月1回10日発行 通巻第319号http://www.quint-j.co.jp/■イラストで語るクリニカルサイエンス日常臨床で遭遇する知覚麻痺柴原孝彦■情報過多の時代を生き抜くCritical Thinking習得法3「統計学」にだまされない!八重垣 健/安彦善裕■座談会:若き歯科医師が希望をもてる歯科界へ PART2患者本位の治療計画の真意土屋賢司/船登彰芳/水上哲也/牧草一人■GBRにおける吸収性膜の有効性と可能性を探る1チタン強化型非吸収性膜から遅延型吸収性膜へ佐々木 猛/松井徳雄■THE VERIFICATION 検証の時代はじまるエムドゲイン®療法の検証(後編)弘岡秀明■ FROM OVERSEAS:WHY ONLY IN THE JAWS?静注ビスフォスフォネート系薬剤投与と顎骨壊死島原政司/有吉靖則■若手Drのための“明日の臨床に役立つ咬合講座”7患者本位の治療介入をするためには──無歯顎症例を通じて中村健太郎■新・症例PLAY BACK歯周補綴治療後,強い咬合力によって咬合崩壊を起こしたケース吉永 修■New Essence:the Debut非外科,非抜歯で対応した骨格性Ⅲ級についての考察石井彰夫■Advanced Technique for Severe Case3 最終回切開・縫合のテクニックを学ぶ2(リターンズ)白石和仁2008vol. 27 no.7July767テクニックを行い,根面処理後にエムドゲイン®を塗布することによりtrue periodontal regenerationが期待され,より良好な結果が得られるのではと考察し,症例に応用した.1. 症例1:歯肉退縮に対するエムドゲイン®療法+CAF① 患者は23歳,男性.部の歯肉退縮による知覚過敏ならびに審美障害にて来院された(1998年).初期治療後,同部位にエムドゲイン®療法を応用することとした.歯間乳頭部を保存するため,乳頭頂を避け,近遠心部には歯肉-歯槽粘膜境を越えるまで縦切開を行った.部分層弁により歯肉を剥離し,歯肉弁は歯冠側に無理なく移動できるよう,減張切開を行った.根面の機械的清掃後,根面処理がなされ,エムドゲイン®を塗布し,歯肉弁が歯冠側にもち上げられ,縫合,閉鎖された(図1a~d).術後4週間は化学的なプラークコントロール,術者による機械的な清掃が行われ,その後,3か月ごとのメインテナンスプログラムに組み込まれた.術式の詳細は本誌1999年1月号を参照していただきたい.術式自体はじめに 後編となる今回は,エムドゲイン®療法と他の歯周組織再生を試みる療法との併用について,そのエビデンスについて考察するとともに,現時点でのエムドゲイン®療法の適応について検証を行い,今後の展望を考察する.歯肉退縮へのエムドゲイン®療法の応用 Hammarströmら(1997)1はサルの裂開型骨欠損,Heijlら(1997)2はヒトで抜歯予定の歯にサル同様の裂開型骨欠損を用いて,エムドゲイン®療法の基礎となる実験を行った.また,イエテボリ大学歯周病科のWennströmらは歯肉退縮の治療方法にcoro-nally advanced ap(CAF)テクニックを用いて良好な結果を報告している(Wennström & Zucchelli 1996)3. 筆者は前述の動物実験あるいはヒトでの実験を,歯肉退縮を人工的につくり,手術時に歯肉弁を歯冠側にもち上げ,根面にエムドゲイン®を応用するモデルとしてとらえた.そこで,歯肉退縮部にCAF東京都開業 スウェーデンデンタルセンター連絡先:〒100‐0011 東京都千代田区内幸町2‐2‐3 日比谷国際ビル3F弘岡秀明エムドゲイン®療法の検証(後編)エムドゲイン®による生物学的コンセプトに基づいた組織再生法Ⅶ‐2検証の時代はじまる今まで行われてきた治療法について,長期経過症例・文献をもとに,その適応と効果を「検証」し,さらに今後の展望を考察する.THE VERIFICATIONthe Quintessence. Vol.27 No.7/2008̶1487 77THE VERIFICATION症例5症例5(図5a~i)患者:54歳,女性主訴:咀嚼障害診断:3遠心の楔状骨欠損エムドゲイン®療法を行い術後1年で根吸収が認められた症例図5a エムドゲイン®療法術前.遠心には9mmの深いポケット.図5b 遠心に楔状骨欠損が認められる.図5c の遠心の歯肉弁を剥離すると,9mmの楔状骨欠損が認められた.図5d エムドゲイン®塗布.図5e 術後6か月.4mmのCALの獲得がみられる.図5f インプラント埋入のために歯肉弁が剥離された.骨欠損部は骨組織で満たされていた.だがよく観察すると根吸収像がみられる.図5g,h エムドゲイン®によって再生した骨内にフィクスチャーの埋入が可能になった.図5i インプラント上部構造装着後3年.歯頚部に吸収像が存在する.the Quintessence. Vol.27 No.7/2008̶1497 図5g図5h138the Quintessence. Vol.35 No.1/2016—0138
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