ザ・クインテッセンス 2016年2月
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ステップ①:患者の問題(疑問)の定式化ステップ②:エビデンス      情報の収集PICOPatients(Participants):どんな患者,問題にIntervention:どのような介入をするとComparison:介入なし,別の介入と比べてOutcomes:どうなるのかまず目の前の患者から話を聞き,患者との対話のなかで歯科医師や歯科衛生士は患者が抱える問題について十分に理解を深める.その後,診査に進み,正確な診断をする必要がある.そして診療上の問題,疑問(クリニカルクエスチョン)の抽出を行い,PICOという定式にすることで次のステップでエビデンス情報を効率よく収集することが可能になる.臨床上の疑問に対する信頼性の高いエビデンス情報を収集する.それぞれのPICOに適した研究デザインの論文を検索し,選択する必要がある.論文検索はPubmed1などのデータベースを利用する.参考文献 1.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmedFEATURE特 集 2臨床へのエビデンスの正しい活かし方まずはEBMを実践するための5つのステップ“おさらい”してみよう!プロローグ:臨床の疑問を文献から考察することの重要性今後数十年,臨床と向き合う歯科医師へ復習 1990年代前半にEBM(根拠に基づいた医療:Evidenced Based Medicine)という概念が提案されて久しいが,われわれはEBMの意味を正しく理解し,日常臨床のなかで実践できているのであろうか? そもそも,日本の歯学教育においては長らくこの部分の取り組みが欠けてきたのではないか? 海外の歯学教育現場では,治療方針における意思決定に際し,多くの原著論文を読破し,そこから妥当性のある治療計画を選択する訓練を学生たちが受けている.一方,日本では製本された教科書を教材に使用することが多く,学生が原著論文に触れることはほとんど皆無である.また,卒後教育の場においても,これまでは講演会やセミナーで聴く,権威ある歯科医師の経験に裏打ちされた意見が,治療方針の意思決定に大きく影響してきたように思わ著:竹市卓郎62the Quintessence. Vol.35 No.2/2016—0312

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