ザ・クインテッセンス 2016年2月
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NBM的手法を意識すべきステップ③:得られた情報の批判的吟味ステップ⑤:全ステップの評価エビデンスのチェックリスト□ 妥当性の評価:バイアス・誤差(ずれ)・読む価値の判断□ 結果の評価:臨床アウトカムの検証□ 信頼性の評価:確実性・再現性・誤差(ぶれ)□ 臨床的意義の評価:有用性の評価ステップ①~⑤までを振り返り,自分が行った治療が患者の役に立ったか,また改善すべき点はないかを考える.検証を行い,その治療法に問題点があれば改善方法を検討する.さらにそれぞれのステップにおけるスキルアップを継続して行うことにより,EBM全体のレベルアップが可能になる.ステップ④:情報の患者への適用監著)飯田吉郎*1/竹市卓郎*2著)高田智史*3/飯田真也*4/味岡武志*5/吉木雄一朗*6*1ナディアパークデンタルセンター/*2愛知学院大学歯学部冠・橋義歯学講座/*3高田兄弟歯科/*4いいだ歯科医院/*5あじおか歯科クリニック/*6Y'sデンタルクリニック(以上すべて愛知県)代表連絡先*1:〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄3-18-1-8FHow to Use EBD for Daily Clinical PracticeYoshiro Iida, Takuro Takeichi, Satoshi Takada, Shinya Iida, Takeshi Ajioka, Yuichiro Yoshikiキーワード:EBM,ClassⅡ窩洞修復,ダイレクト修復,セミダイレクト修復, インダイレクト修復本特集は,本誌2014年2月号特集1「エビデンスの正しい使い方」(著:竹市卓郎)が好評を博したことから,その実践編として,企画されたものである(編集部)今後数十年臨床と向き合う歯科医師へエビデンスの正しい使い方①患者のニーズまたは選択EBDの3要素③歯科医師の専門的技術と知識②論文により得られたエビデンスFEATURE特 集 1図 ADA Center for Evidence-based Dentistry によるEBDの3要素.愛知学院大学歯学部冠・橋義歯学講座連絡先:〒‐ 愛知県名古屋市千種区末盛通‐キーワード:EBM,NBM,理想像,エビデンス,対話Takuro Takeichi竹市卓郎To the Dentists Who Will Face Clinical Practices for 10 Years from Now onThe Judicious Use of Evidence 年生まれ,愛知学院大学歯学部卒業,同大学大学院修了(歯科補綴学専攻).現在,同学部冠・橋義歯学講座に講師として所属する.専門は歯科補綴学(冠・橋義歯),口腔インプラント学.年9月から1年間米国のペンシルベニア大学歯学部修復学講座(主任教授 Dr. Markus B. Blatz)に客員研究員として在籍し,All ceramic restorationsおよびCAD/CAMに関する研究を行う.年7月より同講座に非常勤准教授として所属する.PROFILE 「エビデンスの正しい使い方」って何?と思われるでしょうか.EBMを補完する意味でのNBMの存在は知られていますが,果たして両者は一対の関係という点は正しく理解されているでしょうか? EBMとNBMを臨床にどのようにフィードバックすべきかを以下に考えていきます.62the Quintessence. Vol.33 No.2/2014̶0324p062-072_TQ02_toku1.indd 6216/01/14 10:09都合のいい論文を選択するのではなく,より妥当性や信頼性が高い臨床論文を選択する.エビデンスレベルが高いシステマティックレビューについては,対象となる論文には測定法,観察期間などがある.それぞれの限界を知り,選択した論文の批判的吟味および解釈が必要.治療の選択基準として患者の利益とリスクを明確にし,天秤にかけることが重要.歯科医師は専門家としてアドバイスしつつ,患者との対話を通じて治療方針に患者の視点を反映させ,同意を得て治療法を決定する.れる.それでも,近年はそういった場で文献が引用される機会が多くなってきたが,今度は権威ある歯科医師が引用した文献が,そのエビデンスレベルにかかわらず,都合の良い部分だけあちこちで引用されるという,EBMの本質から外れたおかしな現象も起きているように思われる. 本来,EBMとは日常臨床での意思決定に関して疑問点が生じた時に,その疑問点を定式化し,それを解決する文献を検索し,得られた情報を吟味して,患者へ適応し,その結果を評価していくというプロセスを実践するものである. そこで本特集では,われわれのグループ(栄三丁目文献抄読会)のなかからでてきたClassⅡ窩洞へのコンポジットレジン修復治療の妥当性に対する疑問点を解決していくプロセスを共有しながら,エビデンスの正しい臨床への活かし方を解説していきたい. (飯田吉郎)63the Quintessence. Vol.35 No.2/2016—0313
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